約 5,319,230 件
https://w.atwiki.jp/horror_vip/pages/294.html
トワイライトシンドローム デッドゴーランド ■概要 デッドクルーズ同様、 ニンテンドーDSのゲームソフト 「トワイライトシンドローム」 の発売に合わせて公開された映画。 劇中でもDSで(架空の)ホラーゲームをプレイする描写が見られ、 このホラーゲームが物語における重要な要素となっている。 ■あらすじ ホラーゲーム"トワイライトシンドローム"のイベントに参加するため遊園地に集まった7人の若者たち。 彼らは進行役のピエロに案内されるままに、 知力や体力が試される体験型全米川下り選手権ゲームを開始する。 しかし、ゲームオーバーになった者には罰ゲームとして"死"が待ち受けており……。 ■リンク 映画公式サイト トワイライトシンドローム ポータルサイト
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/8770.html
今日 - 合計 - トワイライトシンドローム究明編の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 17時03分58秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
https://w.atwiki.jp/risarisa_328/pages/6.html
トワイライトシンドローム殺人事件は本当にノンフィクション? D子≠小泉真昼? F男が事件の内容を知っているのはなぜ? E子は最初から女子高生を殺すつもりだった? D子が死体や証拠を写真に収めていたのは? D子がE子の犯行だと気付いたのはいつ? 舞台になった場所 事件が起きたのはいつ? トワイライトの真実とは 九頭龍菜摘殺害の犯人は? サトウ殺害の犯人は? 空白の二日間 トワイライトシンドローム殺人事件は本当にノンフィクション? クリア特典の写真がある以上菜摘とサトウが殺されたのは事実 モノクマが動機の為にわざわざあの話を捏造するとも思えない →絶望編三話にて菜摘とサトウが殺されたことは事実であることが発覚した。 しかし、ゲームとは違い西園寺、澪田、罪木は関わっていない模様。 E子「あいつって…中学の時に写真部の後輩だったんでしょ?」(三日目) →小泉と菜摘は中学からの知り合い →未来機関に奪われた記憶は学園生活のみなので菜摘の存在は覚えているはず →九頭龍と会った時になんのアクションが無かったのは何故? ・純粋に気付かなかっただけ? →兄妹共に九頭龍組の名前を隠してはいない、むしろ前面に出しているので関連性に気付かない訳がない ・気付いてはいたけどわざわざ言う必要は無いと思った? →仮にも部活の後輩に対して「妹さんのことは残念だけど」などという言葉はあまりに他人事すぎる ・やたらと九頭龍の悪態を気に掛けている節もあるので気付いていた? →気付いて居なかったとしてもクリア特典で顔まではっきり見ているのでそこで気付かなければおかしい 相当小泉が菜摘のことを嫌っていて内心死んでいようがどうでもいいと思っていたか、未来機関がその記憶も消したかどちらかであれば成り立つ話でもあるが。 →絶望編三話で菜摘と対面した際怯えていたので、覚えていたものの素直に悲しいとは思わなかった? →サトウ、小泉、菜摘は三人とも同じ写真部に所属していた。 しかし前の学校というのが高校か中学かは語られていない。 →プロジェクトノートにてサトウの説明文に「同じ中学出身」との記述あり。 どちらにせよ、消されたのは希望ヶ峰学園学園での記憶なので、小泉にはその二人に関する記憶はないとおかしい。 プロジェクトノート内にて、小高氏がアニメで語られたことが真実で、2のゲーム内で出てきたゲームはあくまでもモノクマが脚色を加えたものと語っている。 D子≠小泉真昼? 上記も踏まえて、やはり九頭龍と小泉の間になんのアクションも無いのはおかしい モノクマが嘘を吐くとも思えない →エンディングロールのコイズミ≠小泉真昼? ・罪木、西園寺、澪田は写っているが小泉が写っている写真は無い →コイズミという名字の別人が希望ヶ峰学園にいて、それを利用した? ・D子が写真家だという表記は無い為その可能性はある →アニメで語られたことによりこの可能性は潰えました。 F男が事件の内容を知っているのはなぜ? F男「もしかして…ガラスが割れた音っつーのは、そういう事なのか…?」(三日目) あの場に居たのはA子達のみのはず →誰かに聞いた? ・伝聞的な言い回しから恐らく誰かが彼に事件の一連の話を吹聴した可能性は高い →誰が? ・江ノ島盾子? →78期生入学前なのでこの件に江ノ島盾子は関わっていない。 そもそも教室であれだけ騒いでいたのだから、逆にサトウと菜摘の言い争いを隠すことのほうが難しいレベル。 E子は最初から女子高生を殺すつもりだった? 友人達に「スクール水着を取りに行く」と言い残している →最初からスク水を利用して殺すことも考えていた? →かっとなって首を絞めているので、最初は友人達を待たす為だけの口実だったのがとっさに殺人に利用することを思い付いた? D子が死体や証拠を写真に収めていたのは? 警察の事情聴取を想定して? E子が犯人だと気付いたから? →わざわざ予備学科の校舎に赴いてまで撮っていることを考えれば何らかの意図があったと思える。 D子がE子の犯行だと気付いたのはいつ? 二日目、写真の話を聞いて必死になるE子を見た時? →三日目にE子を説得していた様子からも、E子が犯人だと知っておきながらみんなに写真を見せたとは思えない 隣の教室の花瓶を処分している →事件初日から気付いていた? →後日気付いて片付けた可能性も? 舞台になった場所 希望ヶ峰学園? →78期生達のコロシアイがあった旧校舎とは構造が違う →新校舎(?) 上記より花瓶は丸一日割れた状態で放置されていた可能性も →あまり使われていない場所? →希望ヶ峰学園の予備学科の校舎。 事件が起きたのはいつ? 二日目に出てきた新聞より7月7日~7月10日の出来事。 西園寺が急成長を遂げる前 江ノ島入学後? →77期生入学2年目の出来事? →事件発生は77期生入学年度の7月15日以降。 江ノ島盾子はこの件にはほぼ関与してないものと思われる。 トワイライトの真実とは 予備学科に転入したばかりの九頭龍菜摘が何者かによって殺害され、その三日後にクラスメイトのサトウも殺害された事件。 九頭龍菜摘殺害の犯人は? 話の流れを汲めば、サトウが殺害したものとみてほぼ間違いなさそう。 しかし、入学初日からあれだけ言い争っていたのだから真っ先に疑われることは明白。 それでも犯行に踏み切ったとしたら、それだけ余裕がなかったともとれる。 サトウ殺害の犯人は? 九頭龍? 妹の敵を討ったのだとしたら、至極妥当ではある。 が、その後の反応を見る限り、クラスメイトの親友に手を掛けたにしてはあっさりとしすぎているようにも思える。 作中でも「堅気にこんなことをさせるなんて」といった発言が見られることからも、彼が直接手を下したようにも思えない。 小泉を問い詰めた時も「迷っていた」と言っていたし、手を出したきっかけもカッとなったからで、その後も小泉を気にかけるような発言もあることから、堅気に手を掛けて平然としていられるたちではないことが分かる。 ペコ? 「様子を見に行こうか?」との発言や、菜摘が殺されたことを知って悔しがっていた様子からも、菜摘の敵を取りに行った可能性は十分にある。 むくろに言われた「あんた、人を殺したことあるでしょ」という言葉がサトウ殺害の件に掛かっている可能性も否定できない。 しかし、やはりペコが行動を起こしたとして、九頭龍になんの反応も見られないのはおかしい。 ペコが九頭龍には告げずに勝手に行動した可能性もあるが。 九頭龍組の誰か? 九頭龍かペコが手を下さなかったところで、組としては菜摘を殺されたとあってはただでは済ませられないはずである。 学園がどうとりなしたところで示談で済むわけがないだろう。 菜摘を殺害した生徒を差し出す代わりに事件のことを口外しないという約束が学園と組との間で行われたと考えるのが一番自然かもしれない。 空白の二日間 「次の日も、次の日もサトウは学校に来なかった。そして次の日…サトウの遺体が発見された」(絶望編3話、菜摘の遺体が発見された日の日向の発言より) 一日目に菜摘が殺され、四日目にサトウが死んでいる点においてはトワイライトシンドローム殺人事件とは一致している。
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/8772.html
今日 - 合計 - トワイライトシンドローム探索編の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 17時03分59秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
https://w.atwiki.jp/advr/pages/15.html
トワイライトシンドローム 探索編 【とわいらいとしんどろーむ たんさくへん】 ジャンル アドベンチャー 機種 プレイステーション 発売元 ヒューマン 発売日 1996/03/01 メディア CD-ROM1枚 プレイ状況 バッド含め全エンディング制覇 総合評価 A 思春期系心霊探索アドベンチャー 1996年、夏の日。 スーパークールな高校2年生、長谷川ユカリ。 ユカリの幼なじみ、冷静かつ霊感の強い逸島チサト。 ユカリを先輩と慕う、都会の原寸大女子高生岸井ミカ。 3人は噂の真偽を確かめるべく懐中電灯を手に探索する。 「私達、絶対に信じない。本当にこの目で見るまでは・・・」 基本システム 基本は横スクロールのAVG。 プレイヤーは3人の女子高生を操作し、噂を追体験すべく学校・街で行動する。 (3人と言っても基本は一緒に行動しているので、それぞれ個別操作は必要なし)。 怪しい所を調べて歩き回り、時には怪音を録音し証拠の写真を撮りつつ、会話の中で出現する選択肢を選び話を進めていく。 見てはいけないものを見てしまい感じた恐怖は、心音と「フライトレベル」のグラフの脈によって表現される。 ここで注意したいのは、怖い出来事に遭いすぎてしまった場合で、恐怖が彼女らの限界を超えるとショック死しゲームオーバーとなる。 各話には凶、中吉、大吉の3つのEDが用意されている。ただしバッドエンディングの『凶』だと次のシナリオには進めない。 あらすじ 「はじまりの噂」序章。旧校舎のトイレに花子さんが出ると言う。 「心霊写真量産公園」I公園で心霊写真が撮れたという。ユカリ達は噂を確かめるべく探索する。 「音楽室のMF」学校で女子学生M・Fが自殺した。深夜の音楽室に彼女が現れるという。 「最終電車」人身事故が絶えない駅。どうやら理由があるらしい。三人は夜の駅へ。 「雛城高校の七不思議」彼女達の高校に伝わる七不思議の噂。そう、それはどこにでもある・・・。 「もう一つの噂」図書館の机で行われるミカと誰かとの机上通信。究明編へ繋がる。 操作 システム面の不親切さMAXレベル。 プレステ黎明期のソフトであることを考えれば仕方がないが、ゲームスタート時やゲームセーブ時など、とにかくロードが異常に長い。そして時々フリーズする。 「調べる」行為の位置判定が厳し過ぎる。基本2Dなのに奥行きがあったりと、ぞろぞろ歩く三人を上下左右に微調整してボタンを連打する作業は苦痛以外の何者でもない。 バックログはない。そのくせゲームを放って置くとメッセージが勝手に流れていってしまう。当然のようにポーズ機能なんかない。 噂検証中はセーブが出来ない。つまり一話まるまるクリアするまでセーブ不可。時間にゆとりを持ってプレイする必要がある。 噂探索中に撮影した写真や怪音はコレクションでき、「おまけ」モードでクリア後に自由に閲覧できる。 撮影した時はなんともなくてもクリア後にチェックすると・・・などの要素もおいしい。 (セーブシステム的に)非情かつリアルな「ショック死」だが、人間そうそう簡単なことでは死なないので、頻発はしない。 ちなみにショック死はいわゆるゲームオーバー扱いなので、それまでに撮った写真や録音した怪音はみんなパァになる。 シナリオ 基本はオカルトで、遭遇するのは幽霊がほとんど。当然怖いのだが、ただ怖いと言うだけではなく、幽霊も人も全て何らかの事情を抱えつつ存在していて、どこか悲しくも優しい物語なのだ。 作品全体が悲しくも優しい雰囲気に包まれており、プレイすると懐かしさとせつなさが綯い交ぜになったような気持ちにさせられる。 キャラクター このゲームで何より素晴らしいのは、高校生ならではの多感な心の動きが絶妙に描写されていることである。 基本会話ばかりのゲームだというのに、ユカリの危うい背伸びや理想に追いつかない苛立ち、チサトの冷静さや母のような包容力、ミカの幼さ故の無邪気さや愚かさ、という等身大のキャラクターを形作り、描写しきっていることは特筆に値する。 このうち誰もが「ああ、いたなあ」と思えるような子なのだ。もしかしたら、あのころの自分自身でさえありえるような、そんなキャラクターたちなのだ。 会話もリアル。イメージで作られた型通りの女子高生像、例えば「~だわ」、などの女言葉を使うなどの創作然とした話し方ではない。きちんと研究されており(実際に女子高生を談笑させたとか)、会話も実に自然な90年代のノリで展開される。 音楽 ゲーム中に挿入される曲は少ないものの心に残る旋律が多く、効果的に使用されている。 中でもキーでもある曲「Rainy」は素晴らしい。 効果音は3D音響で、静まり返った学校に響く足音、ささやく声など一々非常に恐ろしい。右から左へ、ああ今、背後にいる!といった事まではっきり分かる。 グラフィック グラフィックは顔も判別できないザラザラの2Dであるが、一人ひとりが強烈な個性を持っている。本物の女子高生を使ったモーションキャプチャに基づく動きであり、歩く様子、待つ様子、しぐさ一つ取っても、各キャラクターの性格をよく表していてよく動く。 総評 内容だけならS評価なのだが、いかんせんシステム面が厳しすぎる。クリアまで平均1~2時間は必要なのにクリアまでセーブ不可とは…。 96年はまだポケベルが全盛で、世紀末と騒がれ、女子高生が「コギャル」などと呼ばれ、ある意味特別な時代であった。 あの時代の追い詰められた感じ、というか誰もが生き急いでいる独特な空気。トワイライトシンドロームほど、あの時代の空気を閉じ込めたようなゲームを、私は他に知らない。 ちなみにこの探求編、後で究明編のパッケージと同じ系統のデザインのイラストに揃えた為、パッケージ絵が二種類存在する(ソフトの中身は同じ)。
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1055.html
トワイライトシンドローム~探索編~ part37-150~153,173~176,210~213,216~219,227,231 150 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/11(火) 01 16 52 ID WlarT6rD0 トワイライト投下します。 2ディスクでかなり長いので、ちょっとずつ書いていこうと。 マルチエンドなので、大吉エンドにしぼります。 主人公達 【長谷川ユカリ】 メイン主人公。雛代高校の2年生。帰宅部(元バスケ部)。 美人でスタイルも良く、強気で大人びた、スーパークールな女子高生… というのはうわべで、彼女の取っているポーズに過ぎない。 やせがまんする性格だが、両親の離婚、失恋、強がる結果孤立すること、色んな悩みに揺れ動く16歳の少女。 探検のリーダーだが、実はオカルト嫌いで怖がり。 【逸島チサト】 ユカリのおさななじみであり親友、クラスメイト。弓道部。 古風な家で長女として育った、無口でおだやかな少女。 ハッキリ言って、地味でダサくてパッとしない女子高生。でも珍しい位の人格者で、幼い頃からユカリをずっと支えてきた。 強い霊感があり、またそういうものに正しい理解を示す、探検のキーマン。 それだけに、危険な事に面白半分で首を突っ込むミカやユカリを心配している。 【岸井ミカ】 雛代高校の一年生。バドミントン部&ラクロス同好会。 イマドキ(96年当時)の女子高生。茶髪にミニスカ、ルーズソックス。 自由奔放、楽しければオッケー。話題の中心にいるのが得意だし、好きでもある。 子供っぽい同級生達に飽き足りず、アコガレのユカリセンパイと親しくなろうと計画する。 張り巡らしたネットワークから、あやしげなウワサを次から次へ仕入れてくる、探検の発案者。 151 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/11(火) 01 23 18 ID WlarT6rD0 『はじまりの噂』 どこの学校にも、怖い噂はある。この雛城高校にも…。 ユカリ、チサト、ミカの3人は、夜更けに旧校舎に忍び込んだ。 3F女子トイレに出る、おかっぱ少女の霊のウワサを検証する為だ。 こんなことして大丈夫かな?と心配するチサトに、ミカは 「来といて何言ってんですか?大体私、イツシマセンパイ呼んでませんけどー?」 ユカリが、私が呼んだの!チサトだって先輩なんだからちゃんと気ィ使いなさいよ、とたしなめる。 問題のトイレまで行くと、ある個室が封鎖されていた。噂は、本当かも…。 霊の呼び出し方は、三回回ってノック。やってみたが、何も起こらなかった。 女の子を呼び出せたら、願いが叶う、という噂だが、デマだったらしい。 しょうがないので帰ろうとした時、チサトがユカリを呼び止める。 「ごめんねユカリちゃん、実はわたしも、このウワサ知ってるの…」 チサトは、昔誰かから聞いたことがあるらしい。 大筋は一緒だけど、呼び出し方が少し違う。3回回った後に、「キックキックトントン、キックキックトン」と唱えるらしい。 そうすると、女の子は一緒に遊びたくて出てくる、という所も違う。 試してみたが、何も起こらない。 そもそも、ユカリと親しくなりたくて探検を計画したミカは、チサトが来たこと自体が気に食わないので、嫌味を言う。 ミカと、黙ってただ何かを案じているチサトを促して、ユカリは帰ろうとする。 が、おしっこしたくなって、ユカリ一人でトイレに戻る。 用を足して、手を洗おうとすると、おかっぱの少女が、鏡に映りこんでいた。 ひたすら走って女の子から逃げる。 女の子は、「どうして逃げるの?遊ぼうよ」と言いながら追いかけてくる。 階段の繋がりがめちゃくちゃになって、1Fに降りられない。3人は屋上へ逃げ込む。 おかっぱの女の子は、3人のすぐそばまで来て、こう言って笑った。 「このくらいで怖がってちゃだめだよ。おねえちゃんたち、これからもっと怖いものを見るんだから」 152 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/11(火) 01 29 57 ID WlarT6rD0 第一の噂『心霊写真量産公園』 ミカは友達のキミカに、ある写真の事で相談された。 キミカが彼氏と2ショットで写っているが、赤い光のようなものが、二人の首を切断するように横切っている。 あんたオカルト好きだったでしょ。どうしたらいいか知らない?と聞かれて、 私にまかしときなって!と、その写真を借り受ける。 ミカが、ユカリに写真を見せに来た。 また来たの?なんか君、なれなれしいな…とユカリは邪険に扱うが、ミカは語尾にハートをつけまくって、写真を見せてくる。 くだらない、現像ミスか何かでしょ、と取り合わないユカリに、ミカは、 私霊媒体質だからわかるんですよ♪つよ~い霊気がこの写真に!と食い下がる。 ユカリは、専門家に聞くか、とチサトに写真を見せる。 まさか、と尋ねるミカに、ユカリは、「そう、チサトは本物の霊媒体質。」と答えるが、今度はミカが信じない。 チサトは、この場所に行って見ないとわからないと答える。 ミカは、じゃあ行ってみよう!と強引に誘い、夜に探検に行くことになってしまった。 問題のスポットは、I公園の鳥居がある駐車場。目的は、心霊写真を撮ること。 公園に入り、設置してある地図で駐車場の位置を確認して、こうべ橋に向かう。 途中で、古い地図を見かけて、もう一度道を確認する。 こうべ橋を渡る時チサトが、よくない感じがする…と言い出す。 階段を登って駐車場で記念撮影。チサトがユカリとミカを撮り、元来た道を帰る。 帰りに、公衆トイレで怪奇現象。トイレを出ると、犬と目の見えない老人に会う。 坂井さんと盲導犬のフィラストー。公園の見回りが日課らしい。 鳥居のことを尋ねると、あんな所で写真を撮った!?いかん、すぐ焼きなさいと言われる。 別れてから、ミカはせっかく撮った写真を誰が焼くモンか!バカじゃないの と息巻く。 そして、何かを心配するチサト。一日目終了。 153 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/11(火) 01 32 56 ID WlarT6rD0 焼却炉の前に居たチサトの所に、ミカが駆けつける。 現像した先日の写真を、有頂天になって見せてくる。 見てみると、ミカとユカリの首に赤い光が走っていて、二人の頭は切断されたように体からずれていた。 チサトは、一目見てよくないと心配する。その反応に、ミカは、じゃあ本物!と喜ぶ。 捨てたほうがいいとチサトは説得するが、ミカはどこ吹く風。 チサトは、もう一度見せて…とミカから写真を受け取り、そのまま焼却炉に投げ入れて燃やしてしまう。 「…最低。逸島先輩、今の行為は、ちょっとした噂になると思いますよ。」ミカは走り去っていく。 放課後、ミカがユカリに直談判に来る。 代償に、もう一回一緒に探検しよう!というミカの要求を、今回はこちらに非があるからね、と受けるユカリ。 やっぱり何かを心配するチサト。 また鳥居のある駐車場を目指すが、チサトが気になるものがあると言い出す。 それは、この前見た古い地図。もう一度よく見てみると、今駐車場のある場所に、居ノ頭神社 と記してあった。 神社を潰して、駐車場を作った。だから鳥居があったんだ…と納得するミカとユカリ。 チサトが、「理由があったからそこに在ったのに…こわしちゃいけなかったのに…これじゃいつ誰かが傷ついても不思議じゃないよ!」 と珍しく怒る。 こうべ橋が、その先に渡るのを拒むように、歪みその距離を伸ばす。下の水面からは、いやな気配が立ち上る。 それを振り切るように、ひたすら走り、向こう岸へ着く。 階段を登り鳥居をくぐった時、ユカリは舗装されていない地面と、赤い空を幻視し、生臭い匂いをかいだ。チサトにも見えているらしい。 「…刑場だったんだよ、きっと。」 お社に抑えられていた怨念が噴出し、ここは危険な場所になってしまっている、とチサトは語る。 怖がり、帰ろうとするミカをとどめて、階段下に戻って会話していると 駐車場からトラックが押し出されるようにバックして、斜面を転がり落ちてきた。 チサトは避けそこね、池に落ちてしまう。 沈んでいくチサトは、池の中で怒り狂う無数の首(こうべ)を感じていた。 チサトが気が付くと、坂井さんが介抱してくれていた。他の二人は助けを呼びに行ったらしい。 坂井さんは、あそこが昔首切り場だったこと、切られた首は斜面を転がり、池へ落ちていたこと お社が長い間霊を供養していたこと、そのお社が壊されて、霊たちが怒っていることを教えてくれた。 心配するチサトに、坂井さんは大丈夫だと請合う。坂井さんには仲間が居て、何かアテがあるらしい。 坂井さんにお礼を言い、検証終了。 翌日、チサトはお礼がしたくて坂井さん宅を探している内に、坂井さんが昨日のあの時間、すでに亡くなっていた事を知る。 そして、後日。あの駐車場には、小さなお堂が建った。随分前から市民団体の要望があったらしい。 坂井さんが約束してくれたのは、この事だったのだ…。 チサトは今も覚えている。あの日、旅立つ前に最後の日課を終わらせようと、少し急いで去った坂井さんの姿を…。 173 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/12(水) 00 58 43 ID P+3oLh7D0 第二の噂 『音楽室のM・F』 「奥野先生、奥野先生、至急音楽室までおこしください…」 雨の校舎に、女生徒の声で放送が響く。呼ばれた教師が渡り廊下を渡っていく。 音楽室の扉を開いた彼が見たのは、薄闇から伸びて宙に揺れる、二本の足…。 今、雛代高校は事件に沸いている。音楽室で、女子生徒が首吊り自殺をしたのだ。 彼女のイニシャルは、MF。この噂の最大の目玉は、彼女が死んだ原因。 MFは、音楽教師の奥野先生とデキていて、フラれてあてつけに自殺した…というウワサが、学校中に蔓延していた。 生物室で、教育実習生の北村に、カギを貸してと頼むユカリ。 前回、夜中の学校を探検した時も、北村にカギを借りておいたのだ。 「バレたら、教職の単位全部パーだ。」とぼやく北村に 「大丈夫だって。カズヤならいい先生になれるよ。」と返すユカリ。 ユカリは、北村カズヤと雨の中で出会った。 自転車のチェーンが外れて困っていたユカリを、カズヤが助けてくれたのが出会いだった。 そして二人は、教育実習生と生徒、という許されない関係にもかかわらず、秘密の交際を始めた。 だからかも知れない。ユカリは今回のウワサにいつになく関心を持っていて、 封鎖されている音楽室に夜忍び込もう、というミカの誘いを受けていた。 チサトも含め3人で、カズヤから借りたカギで自殺現場を目指す。 174 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/12(水) 01 01 57 ID P+3oLh7D0 目的は、奥野とMFの関係を検証すること。 奥野の私室化している音楽準備室に、二人の関係を裏付けるものがないか調べる。 特に収穫がなく、(カレンダーを調べるとチサトが反応するが、何も言い出さない。)ミカがMFのウワサの最新版を話し出す。 MFことフジタマユミは放送委員で、奥野と交際してからは、お互いを校内放送で呼び出して逢引していた。 しかし奥野はMFを捨て、MFは校内放送で奥野を呼び出し、奥野が音楽室に来る前に自殺した。 そして、今でも奥野に呼び出されるのを待っていて、校内放送で呼ぶとMFが現れるというウワサ。 証拠がない以上、MFの霊を呼び出してほんとのとこを聞きましょう!というミカは、 二人を引っ張って放送室に連れて行く。 そこで、もう一つのウワサをミカが話し出す。 放送室から音楽室は距離がある。フジタマユミが奥野が来るより前に戻って自殺できたのは何故か? そもそも、フジタマユミの死体は、発見された時すでに、死後数時間が経過していたという…。 とりあえず校内放送を流す。 「フジタマユミさん、フジタマユミさん、奥野先生が音楽室でお待ちです…」 音楽室に戻る途中、校内放送で音楽が流れ出す。曲名は『RAINY』。誰も居ないはずなのに…。 音楽室は何も起きていなかった。あきらめきれないミカと、釈然としない思いに押されて、ユカリももう一度準備室を調べる。 ミカが、カレンダーが先月のだ、とめくろうとして落としてしまう。 隠れていた壁には、たくさんの文字が書き連ねられていた。 今日夢で先生に会った。 ちょっぴり冷たくて、やっぱり素敵だった。 先生、『RAINY』少し弾けるようになったよ。 中間終わったらまたピアノ教えてね 先生、プレゼント嬉しかったよ。 新人の河合、けっこう可愛いけど浮気するんじゃないゾ 今日、女子が先生の悪口いってるのきいちゃった。 その子のうわばき、今しょうきゃくろ。私、悪いコです。 先生、私ずいぶんここで待ってます。 放送かけたのに、聞いててくれなかったの? 雨が降ってきた…先生、私カサ持ってないよ 先生、どうして来てくれないの?私のこと嫌いになったの? 先生… 超最悪!誰かアイツを殺して! 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 175 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/12(水) 01 03 47 ID P+3oLh7D0 証拠を見つけて喜び、いるんですよねー、こういう少女漫画を地でいくヤツ と笑うミカ。 「死ぬ程追いつめられるってどんな気持ちか考えたことないの?」とユカリがたしなめるが、 ミカは「あるわけないじゃないですか。大体、ここまでいっちゃうと病院行きですよ」 中2の時もらったラブレター思い出しちゃう。あの時はクラス回し読みの刑にしてやりましたけど。とふざける。 珍しく、それに食ってかかるユカリ。 「他人のプライバシー暴き立てて喜んでるアンタの方が、よっぽどオカシイわよ!」 「あれー、カウンセリング受けんのアタシですかー?何この人、突然マジになっちゃって。超ムカつくんですけど。」 険悪な雰囲気になるが、ひとまず帰ることにする。 が、音楽室の空気がおかしい。チサトが警告する。 「気をつけて…彼女、来てる。」 なんとか逃げ出すが、気付くとミカがついてきていない。 はぐれたのか、と廊下でしばらく待つ間、チサトと話をする。 ユカリは、フジタマユミとどこか似てること。 ユカリも思いつめる性格なこと。 だから、自殺した本当の原因が知りたかったこと。 そして、出るとこに出て、奥野に思い知らせてやりたい、というユカリをチサトが止める。 そんな事しても、彼女はいなくならない。それより、カレンダーの事、皆に知られるほうが嫌だと思うよ。 ユカリちゃんは少し、この事件に思い入れが強すぎる。あまり自分と重ねすぎないで。引きずられてしまうよ…とチサトは心配してくれた。 余りに遅いミカを探しに、音楽室に戻る。 ミカはピアノを弾いていた。いや、それはミカに憑依したフジタマユミだった。 チサトの説得にもフジタは応じない。ユカリもフジタに話しかける。 ねぇフジタ、アンタの事わかるって思ったけど、今は全然わかんない。 何の為に奥野を待つの?復讐なの?まだ好きなの? 好きなら何故傷つけるの?それとも、死にたくなるくらい好きだったの? ねぇ教えて、フジタマユミ 好きになるのって、死ぬほどつらいことだった…? 私に教えてよ… ユカリに共鳴したのか、フジタがぽつりと呟く。 先生…私の先生…… …指輪…シルバーのムーンストーン………ずっと一緒だよね?… 176 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/12(水) 01 08 32 ID P+3oLh7D0 彼女は暴走を始め、ユカリとチサトは逃げ出す。 奥野に電話をかけて、学校に来てフジタに謝るように説得する。 初めは取り合わなかった奥野だったが、カレンダー裏のことを持ち出すと、態度が変わった。 あれは、僕が消しておいたはずだ…とうろたえる奥野。 とどめに、ムーンストーンの指輪をプレゼントした事を暴いてやると、奥野は電話を切る。 保健室で、ミカに効く気付け薬を探していると、誰かが廊下を歩く気配がする。 慌ててミカを連れに行こうとすると、ミカはもう元に戻っていた。 早く!奥野が来た!と報告するミカ。 奥野先生はピアノの前に佇んでいた。 そして、君達は帰りなさいと言う。どうしようもないので帰宅して、翌日音楽準備室を訪ねてみる。 奥野先生は、あの後ずっとフジタが好きだった曲を弾いていたと言う。彼女の気配を感じながら。 かける言葉も思い浮かばず、立ち去ることも出来ず、彼女の気配が消えるまで、ずっと弾いていた。 それ以後、フジタのウワサは廃れていき、奥野先生は転勤が決まった。 彼女の気持ちは、ユカリ達にもわからない。 音楽準備室のカレンダーがひとりでに落ちる。そこには あ り が と せ ん せ い と書かれていた。 210 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/14(金) 21 06 49 ID 5s9JcWBC0 トワイライト、続き投下します。 この話は、2年二人とミカがやっと友達同士になった感じがして結構好きです。 211 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/14(金) 21 08 10 ID 5s9JcWBC0 第三の噂『最終電車』 放課後、カズヤに話しかけるユカリ。 だが、カズヤはよそよそしい。フジタマユミ事件以来、過敏になっているらしい。 校門で会おう、と言ったが、カズヤは来なかった。 家では、母がカバンをこっそり覗き、何か見つけては、 離婚した父と、ユカリへの責任について電話でケンカを始める。 気晴らしに電話をかけるが、チサトは部活で帰ってない、カズヤはずっと留守電。 しょうがなくミカにかけると、ミカは大喜びした。 面白い話があるから、と夜会うことになる。 3人でファストフードで待ち合わせ。事故が多発している村山台駅を探検することになる。 チサトが 行かないほうがいい、と言い出してミカが反発する。 逸島センパイは帰っていいですよ と言うミカをなだめて、3人で行くことに。 村山台駅には色々な噂がある。その一つが、子供の幽霊の噂。 小さな男の子が、母親が目を離した隙に、何かを追いかけるように線路へ落ちて、電車に轢かれたらしい。 それ以来、その子が出るとか…。 終電の終わった駅へ潜入。目的は心霊写真を撮ること。 OLの霊が出るという連絡橋を目指す。 すぐそばを、車庫に帰る電車が猛スピードで駆け抜けていく。この時間人がいないので、飛ばしているようだ。 連絡橋を渡り始めると、、角に消えるOLが… 終電逃したOLだったら笑い話なので、追いかけて確かめる。 チサトが止めるが却下され、反対側のホームに降りて、探索を始める。 何も起こらず、ミカがチサトに当たり始める。 「なんだかなー。もしかして逸島センパイって、けっこう目立ちたいヒト? いっつも、意味深なこといってさー、結局何もないじゃん。」 その時、 ゆるせない と小さな女の声がミカの耳に届く。 次の瞬間、ミカの体は、ホームから突き飛ばされていた。 線路に落ちると同時に、回送電車が突進してくるのが見えた。何とか回避するミカ。 ホームでは、ユカリがチサトを見て呆然としていた。 ミカの隣りにいたのは、チサトだった。チサトは、私やってないよと否定する。 あのOLさんは、何か許せないことがあって、自殺してしまった。 そしてやっと怒りを忘れて、自分の死を受け入れられそうだったの。だからここで何かを待っていた。 生きてる私達を見せちゃだめだったの。決心が揺らいじゃうから… チサトはそう言い、這い上がってきたミカを見て駆け寄った。 心配するチサトに、ミカが怒鳴りつける。 「今更何ツクってんの!? センパイ、私のこと殺したいくらい嫌い!?こんな形でしかフクシュウできないなんて、超暗いよ!!」 チサトは否定するが、ミカは収まらない。 ミカはチサトをいいかげんな人と非難し、一緒にいたくないと叫ぶ。ユカリが怒り、チサトを引っ張って帰ってしまう。 212 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/14(金) 21 10 25 ID 5s9JcWBC0 一人になったミカは、自分も帰ろうとして歩き始める。すると公衆電話が鳴り出す。 取ってみると、若い男が、待ち合わせに遅れたことを弁解しはじめた。 調子を合わせていたが、バカバカしくなって切ると、ポケベルが鳴る。 誰のベル番かわからないので、その公衆電話からかけると、さっきの男に繋がった。 「ほんとごめん!言い訳する気はないんだけどさぁ、でも行けなかったんだ! 踏み切りでさぁ、気が付いたらさぁ、ないんだよ!」 アタシじゃないよ…と言うミカを無視して、男は続ける。 「ないんだよ…オレの足が両方とも!そんで周り見たら、オレが散らばっててさぁ!」 切ってもまた電話が鳴る。取ってみると、 「でもさぁ、もうちょっと待ってくれよ!会いたいんだ! 今度こそ遅れないからさぁ、そこで待っててくれよ!」 ミカは走って改札のあるホームへ渡るが、階段を下りるとそこは元居たホーム。そして電話が鳴り始める。 「帰してよぉ…」ミカはしゃがみこむ。 その頃、ユカリとチサトは連れ立って歩いていたが、急にチサトが立ち止まった。 「ユカリちゃん、やっぱり戻ろう!」 岸井さん一人じゃ危ないよ、とチサトは駆け出し、ユカリも続く。 駅に着いて探し回ると、公衆電話のそばでミカがうずくまっていた。 もう行っちゃったから大丈夫だよ とチサトがミカを励まして、無責任に置いて帰った事をあやまる。 ミカもチサトにあやまり、3人とも仲直りする。 改札側のホームに渡ると、さっきいたホームに酔っ払いがいるのが見える。 電車が通過すると、酔っ払いは消えていた。 自動販売機のそばに、小さな男の子が現れて、消えた。 チサトが、あの子がいる場所を見つけて!と言い出して、ホームを探し回る。 階段のそばに、花が供えられていた。 チサトが霊視する。 あの子は、はじめて自分でジュースを買うことになって、うれしかったらしい。 でも、自動販売機に駆けていく途中、お金を落としてしまった。転がる小銭を追いかけて、線路に落ちてしまい…。 3人は、あの子の為にジュースをお供えした。 213 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/14(金) 21 12 14 ID 5s9JcWBC0 連絡橋をもう一度登ると、何か違和感がある。ここは線路二本で2.3番ホームまでしか無いはず。 じゃあ、この先は、何? 現れた4番ホームへの階段を、さっきのあの子が降りていく。 3人もそれに続き、あるはずのないホームへ。 時刻表には、「夕闇ヶ丘行き」の文字。駅員がいて、ごく普通の調子で、最終電車が出るよと言う。 見たことの無い電車が止まり、誰もいないホームに扉を開いた。 記念に写真を撮り、乗らずにやりすごすと、駅員が、黒くなって消えていく。 ふと気付くと、3人は線路脇の小さな墓地に立っていた。 後日。駅のいろんな所で撮った写真を3人で見ていると、最後の写真で手が止まった。 あの日、3人と駅員しかいなかったはずの4番ホーム。あの電車に、無数の白い人影が乗り込むのが写っていた。 あの駅にいた色んな人は、あの電車を待ってたのだろう。 彼らの終着駅、夕闇ヶ丘。どんな所かは分からないが、きっと静かで安らかな所だろうと思うのだった。 216 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/14(金) 22 38 53 ID 5s9JcWBC0 トワイライトもいっこいきます。 この話は、時間制限こそあれ、箸休め的な感じで気楽です。一番好きかも。 217 :トワイライトシンドローム~探索~:2008/03/14(金) 22 40 02 ID 5s9JcWBC0 第四の噂『雛城高校の七不思議』 七不思議を検証することになる。 七不思議を検証するには、一つだけルールがある。それは、日が落ちてから、日付が変わるまでに調べ終わること。 そうしないと呪いがかかる…という噂。 ミカが言うには、雛城高校七不思議とは その1、『新校舎の13階段』 夜になると、二段増えて13段になる。それを数えてしまった者は、そこで死んだ男子生徒に縁へ追い詰められ、落とされてしまう。 その2、『呪われた石膏像』 美術室の石膏像に、一つだけやけに軽いものがある。それは、本物の頭蓋骨が埋め込まれていて、中が空洞だから。 その3、『幽霊の話し声』 図書室の奥の部屋から、夜中に話し声が聞こえる。何人かがわめくような声や、苦痛にうめくような声。結構聞いた人がいるそうだ。 その5、『動き出す骨格標本』 生物室の骨格標本は、決まった時間に動き出す。霊が憑依して、動かしにくい標本から、人間に乗り移ろうとして探しているらしい。 その6、『開かずの掃除用具入れ』 中庭にあるプレハブの掃除用具入れの中には、黒猫の死体が入っている。夜中にその猫が鳴く間だけ、扉を開けることが出来る。 その7、『陸上部員の幽霊』 ひたすら走る。夜のトラックをひたすら… 「その4。」 「は?」 「その4抜かしてる。作り忘れたのか?」 「またそーゆー事言う~。えーと、4番…4番……?じゃあ、こうしましょう! その4は、数学教師Nと、体育教師Tはホモで、デキている~!」 「………。」 いきなり七不思議の信憑性自体が薄れるが、検証を開始する。8時開始で12時までに検証終了しなければならない。 218 :トワイライトシンドローム~探索~:2008/03/14(金) 22 42 24 ID 5s9JcWBC0 まず、一番近い生物室で『動き出す骨格標本』を検証。 調べていると、カタカタと標本が動き出した。驚いたが、部屋全体が揺れてるような。 真下のボイラー室に降りてみると、ボイラーが稼動していた。この振動で動いてた訳だ… それにしても、こーんな揺れててこのボイラー大丈夫なのか?その途端、ボイラーから蒸気が噴出し、3人とも絶叫して逃げ出す。検証終了。 次は、美術準備室で『呪われた石膏像』を検証。 美術教師の際田は、自分を捨てた女を殺して、頭部を作りかけだった石膏像に埋め込んだ。際田は毎日早朝に、その石膏像から流れた血の涙を拭いているとか…。 際田が毎日、石膏像を磨いたり、しきりにいじっているのは事実らしい。毎日位置を変えるそうで、どれがその石膏像かは分からない。 探しているうちに、際田が準備室に入ってくる。 慌てて隠れると、際田はある戸棚を調べて出て行った。 こんな時間に学校にいるなんて、いよいよ怪しい!その戸棚を開けてみると、隠すように石膏像が… 調べてみると、中には小銭が大量に入っていた。これ貯金箱!?ちっちゃい男…。という事で検証終了。 新校舎3Fで『新校舎の13階段』を検証。 他の階段で数えてみると、やはり11段。そして、問題の階段を登ってみると… 「10…11………12、13…」 本当に13段あり、怯えるミカに、チサトが尋ねる。 「ねぇ岸井さん、この階段、昼間に数えてみたことあるの?」 「え?」 確かにこの階段だけ13段あったけど、昼間はここも11段なのか? ミカは、確認してない…と答える。 「あっはっは いい度胸だねぇ」 「ユカリちゃん、グーはダメだよ!」検証終了。 プレハブで『開かずの掃除用具入れ』を検証。 この学校の付近には、仲のいい黒猫のカップルがいた。しかし、オス猫がある日いなくなった。 それからというもの、メスの黒猫が夜中にこのプレハブに向かって鳴くらしい。 オス猫は人間に殺されて、この掃除用具入れに入れられているという噂がたつようになった。そして彼女の呼ぶ声に彼が答えて鳴くとき、扉が開くという… 掃除用具入れからは生臭い匂いがする。意を決してこじ開けると… ネコの餌が入っていた。黒猫がやって来て、こちらに向かって鳴く。 「誰かが内緒で飼ってるんだね…。」 「色気より食い気か…。」 ネコに餌をやって検証終了。 219 :トワイライトシンドローム~探索~:2008/03/14(金) 22 46 07 ID 5s9JcWBC0 図書室で、『幽霊の話し声』を検証。 入ってみると、司書室から確かに話し声が…。でもなんだか、聞き覚えある声。数学の新倉先生と、体育の田村先生…? 「先生、ボク、教師なんです これ以上…」 「いいじゃないか、今更…」 アッー!という事で盗み聞き開始。 どうやら、嫌がる新倉先生に、しつこく言い寄る田村先生。以前にも行為に及んだような口ぶり。 「どうしても…ですか?」 「お前がいなきゃダメなんだよ…!」 沸き立つミカ、呆れるユカリ、帰ろうとするチサト。 その途端、ガヤガヤと3~4人の声がし始めた。 「やー、お待たせしました。」 「おっ新倉先生、大丈夫ですか」 「こいつ帰りたいって言い出してね、ひきとめるの苦労しましたよぉー」 「じゃっ始めますか」 ジャラジャラ、ざわ…ざわ…。 麻雀かよ…この教師どもは…。脱力する二人と、何だか嬉しそうなチサト(新倉は弓道部顧問)。検証終了。 結局、全部自然現象で、脱力の余り怒るユカリ。 ミカが、最後の一つは本物かも!と食い下がって、『陸上部員の幽霊』を帰りがけに検証しにいく。 口ゲンカしていると、闇の向こうから何かが走ってきた。まさか、この噂だけは… 身構える3人の目の前を、二宮金次郎が走り抜けていった。 「…どこが陸上部員なわけ?」 「…二宮金次郎でしたね。」 「…おしかったね」 「バカバカしい!あーあ、チサト、帰りにラーメン食べてこ」 「うん、いいね」 「あーん、私も行きますってばぁ!」 という訳で、七不思議の検証を終了するのだった。
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1304.html
トワイライトシンドローム~探索編~ part37-150~153,173~176,210~213,216~219,227,231 150 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/11(火) 01 16 52 ID WlarT6rD0 トワイライト投下します。 2ディスクでかなり長いので、ちょっとずつ書いていこうと。 マルチエンドなので、大吉エンドにしぼります。 主人公達 【長谷川ユカリ】 メイン主人公。雛代高校の2年生。帰宅部(元バスケ部)。 美人でスタイルも良く、強気で大人びた、スーパークールな女子高生… というのはうわべで、彼女の取っているポーズに過ぎない。 やせがまんする性格だが、両親の離婚、失恋、強がる結果孤立すること、色んな悩みに揺れ動く16歳の少女。 探検のリーダーだが、実はオカルト嫌いで怖がり。 【逸島チサト】 ユカリのおさななじみであり親友、クラスメイト。弓道部。 古風な家で長女として育った、無口でおだやかな少女。 ハッキリ言って、地味でダサくてパッとしない女子高生。でも珍しい位の人格者で、幼い頃からユカリをずっと支えてきた。 強い霊感があり、またそういうものに正しい理解を示す、探検のキーマン。 それだけに、危険な事に面白半分で首を突っ込むミカやユカリを心配している。 【岸井ミカ】 雛代高校の一年生。バドミントン部&ラクロス同好会。 イマドキ(96年当時)の女子高生。茶髪にミニスカ、ルーズソックス。 自由奔放、楽しければオッケー。話題の中心にいるのが得意だし、好きでもある。 子供っぽい同級生達に飽き足りず、アコガレのユカリセンパイと親しくなろうと計画する。 張り巡らしたネットワークから、あやしげなウワサを次から次へ仕入れてくる、探検の発案者。 151 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/11(火) 01 23 18 ID WlarT6rD0 『はじまりの噂』 どこの学校にも、怖い噂はある。この雛城高校にも…。 ユカリ、チサト、ミカの3人は、夜更けに旧校舎に忍び込んだ。 3F女子トイレに出る、おかっぱ少女の霊のウワサを検証する為だ。 こんなことして大丈夫かな?と心配するチサトに、ミカは 「来といて何言ってんですか?大体私、イツシマセンパイ呼んでませんけどー?」 ユカリが、私が呼んだの!チサトだって先輩なんだからちゃんと気ィ使いなさいよ、とたしなめる。 問題のトイレまで行くと、ある個室が封鎖されていた。噂は、本当かも…。 霊の呼び出し方は、三回回ってノック。やってみたが、何も起こらなかった。 女の子を呼び出せたら、願いが叶う、という噂だが、デマだったらしい。 しょうがないので帰ろうとした時、チサトがユカリを呼び止める。 「ごめんねユカリちゃん、実はわたしも、このウワサ知ってるの…」 チサトは、昔誰かから聞いたことがあるらしい。 大筋は一緒だけど、呼び出し方が少し違う。3回回った後に、「キックキックトントン、キックキックトン」と唱えるらしい。 そうすると、女の子は一緒に遊びたくて出てくる、という所も違う。 試してみたが、何も起こらない。 そもそも、ユカリと親しくなりたくて探検を計画したミカは、チサトが来たこと自体が気に食わないので、嫌味を言う。 ミカと、黙ってただ何かを案じているチサトを促して、ユカリは帰ろうとする。 が、おしっこしたくなって、ユカリ一人でトイレに戻る。 用を足して、手を洗おうとすると、おかっぱの少女が、鏡に映りこんでいた。 ひたすら走って女の子から逃げる。 女の子は、「どうして逃げるの?遊ぼうよ」と言いながら追いかけてくる。 階段の繋がりがめちゃくちゃになって、1Fに降りられない。3人は屋上へ逃げ込む。 おかっぱの女の子は、3人のすぐそばまで来て、こう言って笑った。 「このくらいで怖がってちゃだめだよ。おねえちゃんたち、これからもっと怖いものを見るんだから」 152 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/11(火) 01 29 57 ID WlarT6rD0 第一の噂『心霊写真量産公園』 ミカは友達のキミカに、ある写真の事で相談された。 キミカが彼氏と2ショットで写っているが、赤い光のようなものが、二人の首を切断するように横切っている。 あんたオカルト好きだったでしょ。どうしたらいいか知らない?と聞かれて、 私にまかしときなって!と、その写真を借り受ける。 ミカが、ユカリに写真を見せに来た。 また来たの?なんか君、なれなれしいな…とユカリは邪険に扱うが、ミカは語尾にハートをつけまくって、写真を見せてくる。 くだらない、現像ミスか何かでしょ、と取り合わないユカリに、ミカは、 私霊媒体質だからわかるんですよ♪つよ~い霊気がこの写真に!と食い下がる。 ユカリは、専門家に聞くか、とチサトに写真を見せる。 まさか、と尋ねるミカに、ユカリは、「そう、チサトは本物の霊媒体質。」と答えるが、今度はミカが信じない。 チサトは、この場所に行って見ないとわからないと答える。 ミカは、じゃあ行ってみよう!と強引に誘い、夜に探検に行くことになってしまった。 問題のスポットは、I公園の鳥居がある駐車場。目的は、心霊写真を撮ること。 公園に入り、設置してある地図で駐車場の位置を確認して、こうべ橋に向かう。 途中で、古い地図を見かけて、もう一度道を確認する。 こうべ橋を渡る時チサトが、よくない感じがする…と言い出す。 階段を登って駐車場で記念撮影。チサトがユカリとミカを撮り、元来た道を帰る。 帰りに、公衆トイレで怪奇現象。トイレを出ると、犬と目の見えない老人に会う。 坂井さんと盲導犬のフィラストー。公園の見回りが日課らしい。 鳥居のことを尋ねると、あんな所で写真を撮った!?いかん、すぐ焼きなさいと言われる。 別れてから、ミカはせっかく撮った写真を誰が焼くモンか!バカじゃないの と息巻く。 そして、何かを心配するチサト。一日目終了。 153 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/11(火) 01 32 56 ID WlarT6rD0 焼却炉の前に居たチサトの所に、ミカが駆けつける。 現像した先日の写真を、有頂天になって見せてくる。 見てみると、ミカとユカリの首に赤い光が走っていて、二人の頭は切断されたように体からずれていた。 チサトは、一目見てよくないと心配する。その反応に、ミカは、じゃあ本物!と喜ぶ。 捨てたほうがいいとチサトは説得するが、ミカはどこ吹く風。 チサトは、もう一度見せて…とミカから写真を受け取り、そのまま焼却炉に投げ入れて燃やしてしまう。 「…最低。逸島先輩、今の行為は、ちょっとした噂になると思いますよ。」ミカは走り去っていく。 放課後、ミカがユカリに直談判に来る。 代償に、もう一回一緒に探検しよう!というミカの要求を、今回はこちらに非があるからね、と受けるユカリ。 やっぱり何かを心配するチサト。 また鳥居のある駐車場を目指すが、チサトが気になるものがあると言い出す。 それは、この前見た古い地図。もう一度よく見てみると、今駐車場のある場所に、居ノ頭神社 と記してあった。 神社を潰して、駐車場を作った。だから鳥居があったんだ…と納得するミカとユカリ。 チサトが、「理由があったからそこに在ったのに…こわしちゃいけなかったのに…これじゃいつ誰かが傷ついても不思議じゃないよ!」 と珍しく怒る。 こうべ橋が、その先に渡るのを拒むように、歪みその距離を伸ばす。下の水面からは、いやな気配が立ち上る。 それを振り切るように、ひたすら走り、向こう岸へ着く。 階段を登り鳥居をくぐった時、ユカリは舗装されていない地面と、赤い空を幻視し、生臭い匂いをかいだ。チサトにも見えているらしい。 「…刑場だったんだよ、きっと。」 お社に抑えられていた怨念が噴出し、ここは危険な場所になってしまっている、とチサトは語る。 怖がり、帰ろうとするミカをとどめて、階段下に戻って会話していると 駐車場からトラックが押し出されるようにバックして、斜面を転がり落ちてきた。 チサトは避けそこね、池に落ちてしまう。 沈んでいくチサトは、池の中で怒り狂う無数の首(こうべ)を感じていた。 チサトが気が付くと、坂井さんが介抱してくれていた。他の二人は助けを呼びに行ったらしい。 坂井さんは、あそこが昔首切り場だったこと、切られた首は斜面を転がり、池へ落ちていたこと お社が長い間霊を供養していたこと、そのお社が壊されて、霊たちが怒っていることを教えてくれた。 心配するチサトに、坂井さんは大丈夫だと請合う。坂井さんには仲間が居て、何かアテがあるらしい。 坂井さんにお礼を言い、検証終了。 翌日、チサトはお礼がしたくて坂井さん宅を探している内に、坂井さんが昨日のあの時間、すでに亡くなっていた事を知る。 そして、後日。あの駐車場には、小さなお堂が建った。随分前から市民団体の要望があったらしい。 坂井さんが約束してくれたのは、この事だったのだ…。 チサトは今も覚えている。あの日、旅立つ前に最後の日課を終わらせようと、少し急いで去った坂井さんの姿を…。 173 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/12(水) 00 58 43 ID P+3oLh7D0 第二の噂 『音楽室のM・F』 「奥野先生、奥野先生、至急音楽室までおこしください…」 雨の校舎に、女生徒の声で放送が響く。呼ばれた教師が渡り廊下を渡っていく。 音楽室の扉を開いた彼が見たのは、薄闇から伸びて宙に揺れる、二本の足…。 今、雛代高校は事件に沸いている。音楽室で、女子生徒が首吊り自殺をしたのだ。 彼女のイニシャルは、MF。この噂の最大の目玉は、彼女が死んだ原因。 MFは、音楽教師の奥野先生とデキていて、フラれてあてつけに自殺した…というウワサが、学校中に蔓延していた。 生物室で、教育実習生の北村に、カギを貸してと頼むユカリ。 前回、夜中の学校を探検した時も、北村にカギを借りておいたのだ。 「バレたら、教職の単位全部パーだ。」とぼやく北村に 「大丈夫だって。カズヤならいい先生になれるよ。」と返すユカリ。 ユカリは、北村カズヤと雨の中で出会った。 自転車のチェーンが外れて困っていたユカリを、カズヤが助けてくれたのが出会いだった。 そして二人は、教育実習生と生徒、という許されない関係にもかかわらず、秘密の交際を始めた。 だからかも知れない。ユカリは今回のウワサにいつになく関心を持っていて、 封鎖されている音楽室に夜忍び込もう、というミカの誘いを受けていた。 チサトも含め3人で、カズヤから借りたカギで自殺現場を目指す。 174 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/12(水) 01 01 57 ID P+3oLh7D0 目的は、奥野とMFの関係を検証すること。 奥野の私室化している音楽準備室に、二人の関係を裏付けるものがないか調べる。 特に収穫がなく、(カレンダーを調べるとチサトが反応するが、何も言い出さない。)ミカがMFのウワサの最新版を話し出す。 MFことフジタマユミは放送委員で、奥野と交際してからは、お互いを校内放送で呼び出して逢引していた。 しかし奥野はMFを捨て、MFは校内放送で奥野を呼び出し、奥野が音楽室に来る前に自殺した。 そして、今でも奥野に呼び出されるのを待っていて、校内放送で呼ぶとMFが現れるというウワサ。 証拠がない以上、MFの霊を呼び出してほんとのとこを聞きましょう!というミカは、 二人を引っ張って放送室に連れて行く。 そこで、もう一つのウワサをミカが話し出す。 放送室から音楽室は距離がある。フジタマユミが奥野が来るより前に戻って自殺できたのは何故か? そもそも、フジタマユミの死体は、発見された時すでに、死後数時間が経過していたという…。 とりあえず校内放送を流す。 「フジタマユミさん、フジタマユミさん、奥野先生が音楽室でお待ちです…」 音楽室に戻る途中、校内放送で音楽が流れ出す。曲名は『RAINY』。誰も居ないはずなのに…。 音楽室は何も起きていなかった。あきらめきれないミカと、釈然としない思いに押されて、ユカリももう一度準備室を調べる。 ミカが、カレンダーが先月のだ、とめくろうとして落としてしまう。 隠れていた壁には、たくさんの文字が書き連ねられていた。 今日夢で先生に会った。 ちょっぴり冷たくて、やっぱり素敵だった。 先生、『RAINY』少し弾けるようになったよ。 中間終わったらまたピアノ教えてね 先生、プレゼント嬉しかったよ。 新人の河合、けっこう可愛いけど浮気するんじゃないゾ 今日、女子が先生の悪口いってるのきいちゃった。 その子のうわばき、今しょうきゃくろ。私、悪いコです。 先生、私ずいぶんここで待ってます。 放送かけたのに、聞いててくれなかったの? 雨が降ってきた…先生、私カサ持ってないよ 先生、どうして来てくれないの?私のこと嫌いになったの? 先生… 超最悪!誰かアイツを殺して! 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 殺して 175 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/12(水) 01 03 47 ID P+3oLh7D0 証拠を見つけて喜び、いるんですよねー、こういう少女漫画を地でいくヤツ と笑うミカ。 「死ぬ程追いつめられるってどんな気持ちか考えたことないの?」とユカリがたしなめるが、 ミカは「あるわけないじゃないですか。大体、ここまでいっちゃうと病院行きですよ」 中2の時もらったラブレター思い出しちゃう。あの時はクラス回し読みの刑にしてやりましたけど。とふざける。 珍しく、それに食ってかかるユカリ。 「他人のプライバシー暴き立てて喜んでるアンタの方が、よっぽどオカシイわよ!」 「あれー、カウンセリング受けんのアタシですかー?何この人、突然マジになっちゃって。超ムカつくんですけど。」 険悪な雰囲気になるが、ひとまず帰ることにする。 が、音楽室の空気がおかしい。チサトが警告する。 「気をつけて…彼女、来てる。」 なんとか逃げ出すが、気付くとミカがついてきていない。 はぐれたのか、と廊下でしばらく待つ間、チサトと話をする。 ユカリは、フジタマユミとどこか似てること。 ユカリも思いつめる性格なこと。 だから、自殺した本当の原因が知りたかったこと。 そして、出るとこに出て、奥野に思い知らせてやりたい、というユカリをチサトが止める。 そんな事しても、彼女はいなくならない。それより、カレンダーの事、皆に知られるほうが嫌だと思うよ。 ユカリちゃんは少し、この事件に思い入れが強すぎる。あまり自分と重ねすぎないで。引きずられてしまうよ…とチサトは心配してくれた。 余りに遅いミカを探しに、音楽室に戻る。 ミカはピアノを弾いていた。いや、それはミカに憑依したフジタマユミだった。 チサトの説得にもフジタは応じない。ユカリもフジタに話しかける。 ねぇフジタ、アンタの事わかるって思ったけど、今は全然わかんない。 何の為に奥野を待つの?復讐なの?まだ好きなの? 好きなら何故傷つけるの?それとも、死にたくなるくらい好きだったの? ねぇ教えて、フジタマユミ 好きになるのって、死ぬほどつらいことだった…? 私に教えてよ… ユカリに共鳴したのか、フジタがぽつりと呟く。 先生…私の先生…… …指輪…シルバーのムーンストーン………ずっと一緒だよね?… 176 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/12(水) 01 08 32 ID P+3oLh7D0 彼女は暴走を始め、ユカリとチサトは逃げ出す。 奥野に電話をかけて、学校に来てフジタに謝るように説得する。 初めは取り合わなかった奥野だったが、カレンダー裏のことを持ち出すと、態度が変わった。 あれは、僕が消しておいたはずだ…とうろたえる奥野。 とどめに、ムーンストーンの指輪をプレゼントした事を暴いてやると、奥野は電話を切る。 保健室で、ミカに効く気付け薬を探していると、誰かが廊下を歩く気配がする。 慌ててミカを連れに行こうとすると、ミカはもう元に戻っていた。 早く!奥野が来た!と報告するミカ。 奥野先生はピアノの前に佇んでいた。 そして、君達は帰りなさいと言う。どうしようもないので帰宅して、翌日音楽準備室を訪ねてみる。 奥野先生は、あの後ずっとフジタが好きだった曲を弾いていたと言う。彼女の気配を感じながら。 かける言葉も思い浮かばず、立ち去ることも出来ず、彼女の気配が消えるまで、ずっと弾いていた。 それ以後、フジタのウワサは廃れていき、奥野先生は転勤が決まった。 彼女の気持ちは、ユカリ達にもわからない。 音楽準備室のカレンダーがひとりでに落ちる。そこには あ り が と せ ん せ い と書かれていた。 210 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/14(金) 21 06 49 ID 5s9JcWBC0 トワイライト、続き投下します。 この話は、2年二人とミカがやっと友達同士になった感じがして結構好きです。 211 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/14(金) 21 08 10 ID 5s9JcWBC0 第三の噂『最終電車』 放課後、カズヤに話しかけるユカリ。 だが、カズヤはよそよそしい。フジタマユミ事件以来、過敏になっているらしい。 校門で会おう、と言ったが、カズヤは来なかった。 家では、母がカバンをこっそり覗き、何か見つけては、 離婚した父と、ユカリへの責任について電話でケンカを始める。 気晴らしに電話をかけるが、チサトは部活で帰ってない、カズヤはずっと留守電。 しょうがなくミカにかけると、ミカは大喜びした。 面白い話があるから、と夜会うことになる。 3人でファストフードで待ち合わせ。事故が多発している村山台駅を探検することになる。 チサトが 行かないほうがいい、と言い出してミカが反発する。 逸島センパイは帰っていいですよ と言うミカをなだめて、3人で行くことに。 村山台駅には色々な噂がある。その一つが、子供の幽霊の噂。 小さな男の子が、母親が目を離した隙に、何かを追いかけるように線路へ落ちて、電車に轢かれたらしい。 それ以来、その子が出るとか…。 終電の終わった駅へ潜入。目的は心霊写真を撮ること。 OLの霊が出るという連絡橋を目指す。 すぐそばを、車庫に帰る電車が猛スピードで駆け抜けていく。この時間人がいないので、飛ばしているようだ。 連絡橋を渡り始めると、、角に消えるOLが… 終電逃したOLだったら笑い話なので、追いかけて確かめる。 チサトが止めるが却下され、反対側のホームに降りて、探索を始める。 何も起こらず、ミカがチサトに当たり始める。 「なんだかなー。もしかして逸島センパイって、けっこう目立ちたいヒト? いっつも、意味深なこといってさー、結局何もないじゃん。」 その時、 ゆるせない と小さな女の声がミカの耳に届く。 次の瞬間、ミカの体は、ホームから突き飛ばされていた。 線路に落ちると同時に、回送電車が突進してくるのが見えた。何とか回避するミカ。 ホームでは、ユカリがチサトを見て呆然としていた。 ミカの隣りにいたのは、チサトだった。チサトは、私やってないよと否定する。 あのOLさんは、何か許せないことがあって、自殺してしまった。 そしてやっと怒りを忘れて、自分の死を受け入れられそうだったの。だからここで何かを待っていた。 生きてる私達を見せちゃだめだったの。決心が揺らいじゃうから… チサトはそう言い、這い上がってきたミカを見て駆け寄った。 心配するチサトに、ミカが怒鳴りつける。 「今更何ツクってんの!? センパイ、私のこと殺したいくらい嫌い!?こんな形でしかフクシュウできないなんて、超暗いよ!!」 チサトは否定するが、ミカは収まらない。 ミカはチサトをいいかげんな人と非難し、一緒にいたくないと叫ぶ。ユカリが怒り、チサトを引っ張って帰ってしまう。 212 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/14(金) 21 10 25 ID 5s9JcWBC0 一人になったミカは、自分も帰ろうとして歩き始める。すると公衆電話が鳴り出す。 取ってみると、若い男が、待ち合わせに遅れたことを弁解しはじめた。 調子を合わせていたが、バカバカしくなって切ると、ポケベルが鳴る。 誰のベル番かわからないので、その公衆電話からかけると、さっきの男に繋がった。 「ほんとごめん!言い訳する気はないんだけどさぁ、でも行けなかったんだ! 踏み切りでさぁ、気が付いたらさぁ、ないんだよ!」 アタシじゃないよ…と言うミカを無視して、男は続ける。 「ないんだよ…オレの足が両方とも!そんで周り見たら、オレが散らばっててさぁ!」 切ってもまた電話が鳴る。取ってみると、 「でもさぁ、もうちょっと待ってくれよ!会いたいんだ! 今度こそ遅れないからさぁ、そこで待っててくれよ!」 ミカは走って改札のあるホームへ渡るが、階段を下りるとそこは元居たホーム。そして電話が鳴り始める。 「帰してよぉ…」ミカはしゃがみこむ。 その頃、ユカリとチサトは連れ立って歩いていたが、急にチサトが立ち止まった。 「ユカリちゃん、やっぱり戻ろう!」 岸井さん一人じゃ危ないよ、とチサトは駆け出し、ユカリも続く。 駅に着いて探し回ると、公衆電話のそばでミカがうずくまっていた。 もう行っちゃったから大丈夫だよ とチサトがミカを励まして、無責任に置いて帰った事をあやまる。 ミカもチサトにあやまり、3人とも仲直りする。 改札側のホームに渡ると、さっきいたホームに酔っ払いがいるのが見える。 電車が通過すると、酔っ払いは消えていた。 自動販売機のそばに、小さな男の子が現れて、消えた。 チサトが、あの子がいる場所を見つけて!と言い出して、ホームを探し回る。 階段のそばに、花が供えられていた。 チサトが霊視する。 あの子は、はじめて自分でジュースを買うことになって、うれしかったらしい。 でも、自動販売機に駆けていく途中、お金を落としてしまった。転がる小銭を追いかけて、線路に落ちてしまい…。 3人は、あの子の為にジュースをお供えした。 213 :トワイライトシンドローム~探索編~:2008/03/14(金) 21 12 14 ID 5s9JcWBC0 連絡橋をもう一度登ると、何か違和感がある。ここは線路二本で2.3番ホームまでしか無いはず。 じゃあ、この先は、何? 現れた4番ホームへの階段を、さっきのあの子が降りていく。 3人もそれに続き、あるはずのないホームへ。 時刻表には、「夕闇ヶ丘行き」の文字。駅員がいて、ごく普通の調子で、最終電車が出るよと言う。 見たことの無い電車が止まり、誰もいないホームに扉を開いた。 記念に写真を撮り、乗らずにやりすごすと、駅員が、黒くなって消えていく。 ふと気付くと、3人は線路脇の小さな墓地に立っていた。 後日。駅のいろんな所で撮った写真を3人で見ていると、最後の写真で手が止まった。 あの日、3人と駅員しかいなかったはずの4番ホーム。あの電車に、無数の白い人影が乗り込むのが写っていた。 あの駅にいた色んな人は、あの電車を待ってたのだろう。 彼らの終着駅、夕闇ヶ丘。どんな所かは分からないが、きっと静かで安らかな所だろうと思うのだった。 216 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/14(金) 22 38 53 ID 5s9JcWBC0 トワイライトもいっこいきます。 この話は、時間制限こそあれ、箸休め的な感じで気楽です。一番好きかも。 217 :トワイライトシンドローム~探索~:2008/03/14(金) 22 40 02 ID 5s9JcWBC0 第四の噂『雛城高校の七不思議』 七不思議を検証することになる。 七不思議を検証するには、一つだけルールがある。それは、日が落ちてから、日付が変わるまでに調べ終わること。 そうしないと呪いがかかる…という噂。 ミカが言うには、雛城高校七不思議とは その1、『新校舎の13階段』 夜になると、二段増えて13段になる。それを数えてしまった者は、そこで死んだ男子生徒に縁へ追い詰められ、落とされてしまう。 その2、『呪われた石膏像』 美術室の石膏像に、一つだけやけに軽いものがある。それは、本物の頭蓋骨が埋め込まれていて、中が空洞だから。 その3、『幽霊の話し声』 図書室の奥の部屋から、夜中に話し声が聞こえる。何人かがわめくような声や、苦痛にうめくような声。結構聞いた人がいるそうだ。 その5、『動き出す骨格標本』 生物室の骨格標本は、決まった時間に動き出す。霊が憑依して、動かしにくい標本から、人間に乗り移ろうとして探しているらしい。 その6、『開かずの掃除用具入れ』 中庭にあるプレハブの掃除用具入れの中には、黒猫の死体が入っている。夜中にその猫が鳴く間だけ、扉を開けることが出来る。 その7、『陸上部員の幽霊』 ひたすら走る。夜のトラックをひたすら… 「その4。」 「は?」 「その4抜かしてる。作り忘れたのか?」 「またそーゆー事言う~。えーと、4番…4番……?じゃあ、こうしましょう! その4は、数学教師Nと、体育教師Tはホモで、デキている~!」 「………。」 いきなり七不思議の信憑性自体が薄れるが、検証を開始する。8時開始で12時までに検証終了しなければならない。 218 :トワイライトシンドローム~探索~:2008/03/14(金) 22 42 24 ID 5s9JcWBC0 まず、一番近い生物室で『動き出す骨格標本』を検証。 調べていると、カタカタと標本が動き出した。驚いたが、部屋全体が揺れてるような。 真下のボイラー室に降りてみると、ボイラーが稼動していた。この振動で動いてた訳だ… それにしても、こーんな揺れててこのボイラー大丈夫なのか?その途端、ボイラーから蒸気が噴出し、3人とも絶叫して逃げ出す。検証終了。 次は、美術準備室で『呪われた石膏像』を検証。 美術教師の際田は、自分を捨てた女を殺して、頭部を作りかけだった石膏像に埋め込んだ。際田は毎日早朝に、その石膏像から流れた血の涙を拭いているとか…。 際田が毎日、石膏像を磨いたり、しきりにいじっているのは事実らしい。毎日位置を変えるそうで、どれがその石膏像かは分からない。 探しているうちに、際田が準備室に入ってくる。 慌てて隠れると、際田はある戸棚を調べて出て行った。 こんな時間に学校にいるなんて、いよいよ怪しい!その戸棚を開けてみると、隠すように石膏像が… 調べてみると、中には小銭が大量に入っていた。これ貯金箱!?ちっちゃい男…。という事で検証終了。 新校舎3Fで『新校舎の13階段』を検証。 他の階段で数えてみると、やはり11段。そして、問題の階段を登ってみると… 「10…11………12、13…」 本当に13段あり、怯えるミカに、チサトが尋ねる。 「ねぇ岸井さん、この階段、昼間に数えてみたことあるの?」 「え?」 確かにこの階段だけ13段あったけど、昼間はここも11段なのか? ミカは、確認してない…と答える。 「あっはっは いい度胸だねぇ」 「ユカリちゃん、グーはダメだよ!」検証終了。 プレハブで『開かずの掃除用具入れ』を検証。 この学校の付近には、仲のいい黒猫のカップルがいた。しかし、オス猫がある日いなくなった。 それからというもの、メスの黒猫が夜中にこのプレハブに向かって鳴くらしい。 オス猫は人間に殺されて、この掃除用具入れに入れられているという噂がたつようになった。そして彼女の呼ぶ声に彼が答えて鳴くとき、扉が開くという… 掃除用具入れからは生臭い匂いがする。意を決してこじ開けると… ネコの餌が入っていた。黒猫がやって来て、こちらに向かって鳴く。 「誰かが内緒で飼ってるんだね…。」 「色気より食い気か…。」 ネコに餌をやって検証終了。 219 :トワイライトシンドローム~探索~:2008/03/14(金) 22 46 07 ID 5s9JcWBC0 図書室で、『幽霊の話し声』を検証。 入ってみると、司書室から確かに話し声が…。でもなんだか、聞き覚えある声。数学の新倉先生と、体育の田村先生…? 「先生、ボク、教師なんです これ以上…」 「いいじゃないか、今更…」 アッー!という事で盗み聞き開始。 どうやら、嫌がる新倉先生に、しつこく言い寄る田村先生。以前にも行為に及んだような口ぶり。 「どうしても…ですか?」 「お前がいなきゃダメなんだよ…!」 沸き立つミカ、呆れるユカリ、帰ろうとするチサト。 その途端、ガヤガヤと3~4人の声がし始めた。 「やー、お待たせしました。」 「おっ新倉先生、大丈夫ですか」 「こいつ帰りたいって言い出してね、ひきとめるの苦労しましたよぉー」 「じゃっ始めますか」 ジャラジャラ、ざわ…ざわ…。 麻雀かよ…この教師どもは…。脱力する二人と、何だか嬉しそうなチサト(新倉は弓道部顧問)。検証終了。 結局、全部自然現象で、脱力の余り怒るユカリ。 ミカが、最後の一つは本物かも!と食い下がって、『陸上部員の幽霊』を帰りがけに検証しにいく。 口ゲンカしていると、闇の向こうから何かが走ってきた。まさか、この噂だけは… 身構える3人の目の前を、二宮金次郎が走り抜けていった。 「…どこが陸上部員なわけ?」 「…二宮金次郎でしたね。」 「…おしかったね」 「バカバカしい!あーあ、チサト、帰りにラーメン食べてこ」 「うん、いいね」 「あーん、私も行きますってばぁ!」 という訳で、七不思議の検証を終了するのだった。
https://w.atwiki.jp/marowiki001/pages/2681.html
目次 【時事】ニューストワイライトシンドローム デッドゴーランド RSSトワイライトシンドローム デッドゴーランド 口コミトワイライトシンドローム デッドゴーランド 【参考】ブックマーク 関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース トワイライトシンドローム デッドゴーランド 『トワイライトシンドローム デッドゴーランド』“B級”感満載のホラーもの。展開を当てられるか楽しもう【TSUTAYAプレミアムで映画漬け】[TSUTAYA News] - T-SITEニュース トワイライトシンドローム デッドゴーランド (2008):あらすじ・キャストなど作品情報|シネマトゥデイ - シネマトゥデイ RSS トワイライトシンドローム デッドゴーランド 『トワイライトシンドローム デッドゴーランド』“B級”感満載のホラーもの。展開を当てられるか楽しもう【TSUTAYAプレミアムで映画漬け】[TSUTAYA News] - T-SITEニュース トワイライトシンドローム デッドゴーランド (2008):あらすじ・キャストなど作品情報|シネマトゥデイ - シネマトゥデイ 口コミ トワイライトシンドローム デッドゴーランド #bf 【参考】 ブックマーク サイト名 関連度 備考 wikipedia ★★ 関連項目 項目名 関連度 備考 参考/ニコニコ動画 ★★ ホラー百物語 タグ 作品 最終更新日時 2013-09-01 冒頭へ
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1057.html
トワイライトシンドローム~究明編~ ・第五話~第七話 part37-232~242,246,247,293~295 ・第八話 part40-182、wiki直接編集 ・第九話~第十話 part40-193~203 232 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 00 58 03 ID nflfIs/90 第五の噂『雛代の杜』 ミカとそのお取り巻きは、図書室の奥の机に妙な落書きを見つける。 「お友達が欲しいんです…誰か私と机の上で文通してください」 ミカ達は面白がり、からかい半分でミカが返事を書いておいた。 ユカリ達にも報告しにきて、呆れるユカリ。 しばらくして行ってみると、返事が書いてあった。 ミカはそれにまた返し、するとまた返ってきて…という内に、段々相手のことが分かってきた。 その子は女の子、イニシャルはS・H。クラスや本名は恥ずかしいからヒミツ。 二年生で、おとなしくて本が好き。風立ちぬ、という小説を読んだばかり。 放課後はいつも図書室奥の机で本を読んでいる。そこの窓からの景色が好き。 体が弱くて、友達はあまりいない。流行にも鈍感で、歌や服にくわしくない。 彼女は流行に異常に疎くて、ミカが何気なく書くアーティストの話題などに全くついてこれない。 がんばるから流行のことを教えて、と書いてあったので、ミカはあらゆる最新情報やおしゃれのヒケツ等、自分の得意分野を伝授すべくはりきる。 いつの間にか文通は長く続き、友達が皆飽きてもミカはせっせと返事を書き続けた。 しばらくして、ミカがまたユカリ達に報告に来る。 「センパイ、アタシ怖くなってきちゃった。なんかあの子変なの。まるで、ずっと昔の人みたい…」 「だったら、文通、返事書くのやめときな」 「うん、でも…なぜか、やめられないの…」 233 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 00 59 56 ID nflfIs/90 チサトが嫌な噂を聞いて、ユカリに話す。 ミカの机上文通が、最近妙な雰囲気らしい。S・Hからの返事に、死ぬ、とか寂しい、とかいう言葉が目立ち始めたという。 ミカの事を心配する二人。 それをよそに、S・Hからの返事はエスカレートしていった。 ミカちゃん、ごめんね。私、もうお返事できないかもしれません。 私、もうすぐ死ぬから。 変なこと書いてごめんね。でも、これは決められていた事。私の運命。 おかあさんも、おねえちゃんももう死んでいます。 おねえちゃんは3年前、だから今度は私の番…。 小さい時からずっと覚悟をしてきたつもりだったけど、もうすぐ…と思うとやっぱり怖いです。 ミカちゃん…ひとりで死ぬのはさみしいよ… ミカちゃん…もうそろそろ、さよならです。 でもその前に…会いたいよ、ミカちゃん… 今日、行きます。 行く前に一度だけ会ってください。 午後六時半、裏山の社で待ってます。 ミカが、消えた。文通の結末を見て、裏山に探しに来たユカリとチサトの目の前で。 ガケから宙に身を躍らせて、彼女は落下せずにそのままかき消えてしまった。 やはり、ミカが文通していた相手は、ただの人間ではなかったのだろう。 そして、多分S・Hはミカを道連れにしようとしている。 今なら間に合うかもしれない。二人はS・Hの情報を求めて、図書室に戻る。 彼女の少ない手がかり、好きな小説は風立ちぬ。図書室を探して風立ちぬを見つけ、古い先生に聞いてみる。 先生は、昔女生徒が寄贈してくれたものだと言う。寄贈者欄をみてみると、そこに名前が書いてあった。 「寄贈 昭和38年 姫神 桜」 ヒメガミ・サクラ。S・H。 新聞の縮刷版で、彼女が30年前に裏山のガケから転落して死んだ事を知る。 ついでに、ミカのように消える超常現象についての文献も調べる。 神隠しや民話の文献を漁っていると、自分達の住んでいる武蔵野の名前が出てくる。 武蔵野の民話を調べると、雛城の話が載っていたが、城の字が違う。昔は、雛代と書いていたようだ。 載っていたのは、お内裏川を上流へ辿った人が、皆消えてしまう話。あの川をさかのぼると、異界へ飛んでしまうのだ。という民話。 お内裏川を古い地図で調べると、そこは、この学校の裏のドブ川のことだった。 昔は、雛流しなどの風習がその川で行われていたらしいが、今はコンクリートで覆われ、地下を走る汚れた川になってしまっている。 半信半疑ながら、手がかりはこれだけ。二人は川に下りて、足場を上流へ歩いていく。 ミカがいる所に連れて行って と願いながら。 234 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 01 39 ID nflfIs/90 その頃、ミカは霧の深い森で、ヒメガミサクラと対峙していた。 やっと会えた事を喜び、色々な話をする二人。 川をさかのぼったユカリとチサトは、裏山の森の中に出る。 でも、きっとここは知っている裏山とは違う。裏山の、更に裏の、知らない世界。 「ミカちゃんを取り戻せる自信、ある?」 チサトがユカリに尋ねる。 「ヒメガミサクラさんの想い、すっごく強く感じる。ミカちゃん、取られちゃうかもしれないくらい…。」 ユカリは、正直自信は無いと答える。 「ヒメガミサクラから取り戻せる程、私がミカに執着してるかわからないよ。 新学期よりは気になるようになったけど、中学の時の友達みたいに、会わなくなったらすぐ忘れちゃうのかもしれない。」 二人は黒い森をひたすら彷徨うが、森はループを繰り返す。二人の行く手を阻むように。 一度引き返すと、お堂を見つけた。中には、ひたすら三味線を引き続ける法師がいた。 チサトが、法師に不思議なお願いをする。 友達を探しているんです。お願い、次の場所に行かせてください。あなたの守っているものに悪さはしません。 法師の弾く曲が変わり、チサトはお礼を言ってお堂を出る。ユカリも、訳が分からないが後に続く。 二人を迷わせていた森は姿を変え、進むべき道を示した。 誘うように飛ぶフクロウを追って、その道を駆け抜け、二人は異世界に辿りつく。 その頃、ヒメガミサクラが、ミカにおひなさまの話を始めていた。 お雛様とは、女の子が健やかに育つよう、その厄を全て背負って、流される為のもの。 言ってみれば、女の子達の幸せの為に捧げられる、イケニエ。 悲しい話題を嫌がるミカに、サクラは続ける。 「ミカちゃんは、前向きで、明るくて、生きる喜びに輝いてる。私達にはまぶしいの。 私達は、そんな輝きは持てない。いずれ流される、雛だから…。」 サクラちゃんも、おひなさまなの?と尋ねるミカに、サクラは 「ミカちゃんだってそうだよ。だから、ずっと一緒にここにいよう。」と言う。 「そうなんだ…。」思考を何かに侵されるように答えるミカ。 ミカはサクラに色々な事を話した。好きなブランド。中々いい新譜。メンバーズオンリーで感じのいいクラブ。 そして、話が友達の所へさしかかり、ユカリのことを思い出す。 ユカリが心配しているかも…と帰りたがるミカを、サクラは優しく押しとどめ、話の続きを促す。 235 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 04 35 ID nflfIs/90 ユカリとチサトは、ミカを探す途中、元の裏山にあったのとにそっくりな社を通りかかる。 中を調べてみると、奉納されたものの中に、ヒメガミサクラの日記を見つけた。 それを読んで、ヒメガミ家のお役目について知る。 ヒメガミ家の女の子は、お内裏川の災いを鎮める為、17になったら自らの命を絶たねばならなかった。 ヒメガミサクラも、姫神としてお内裏川に身を捧げた、イケニエだったのだ。 サクラの日記には、そうなるに至った歴史も綴られていた ずっと昔、お金持ちの家の少女の病を治すために、ある少女がイケニエとして捧げられた。 彼女が庶子だったという理由だけで、村の人達は、泣いて謝る彼女をお内裏川に投げ入れた。 そして、彼女の死と引き換えに、病の癒えた少女は、幸福を手に入れた。 それに、どんな意味があるのかは、わからない…。 でも、彼女の生は、その少女の幸福よりも無意味だったのだろうか。 それだけの理由で、彼女は生きることが許されなかったのか… イケニエとなった少女の悲しみは、お内裏川に渦巻き、村には災いがおとずれた。 少女の悲しみを癒す為、ヒメガミ家の少女達は、代々イケニエに捧げられ続けた。 少女達は、この裏山、形代山で死に、お内裏川に捧げられていた。 この山は、少女達の悲しみの連鎖が、深く沈み積もっている場所なのだ。 その風習が止んだ今も、少女達の嘆きが新しい少女を呼び寄せ、連鎖が続いていく。その一番新しい少女が、ミカ…。 はやくミカを取り戻さなければ…でもどこにいるのかが分からない。 焦るユカリ達は、社の窓から見える風景に違和感があるのに気付く。 この社の向こうは、湖だったはず。でも、窓からは、森が見える。 そして目をこらせば、そこにはミカともう一人の少女 ヒメガミサクラが立っていた。 ミカを必死で呼ぶユカリ、その声に気付くミカ。 また帰りたがるミカに、サクラが優しく語りかける。 「どうして?ミカちゃんが居るべき場所は、ここだよ。 あの人達、他にたくさんの光を持ってる。でもここの光は、ミカちゃんだけなの。」 「ミカちゃんに行って欲しくないって、皆言ってるよ…」 サクラの呟きに合わせて桜が吹き、ぼんやりとした少女達の輪郭がミカにも見え始める。 いかないで…ずっとここにいて… 少女達は口々に呼びかけてくる。 ユカリも、負けじとミカに呼びかける。チサトのアドバイスに従いながら、サクラの正体をミカに教える。 ミカは、信じない。 「ウソだよ!だって、サクラちゃん、こんなにやさしいのに!」 サクラは、何も言わない。 「サクラちゃんが死んでる訳ない!だってここにいるじゃない! サクラちゃん、すっごくいい子なんだよ!話してても、今時の娘とは思えないくらい………いまどきの こ…?」 ハッとするミカ。サクラは、ただ ミカちゃん… とだけ言った。 236 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 06 55 ID nflfIs/90 ユカリが更に畳み掛ける。 「ミカ、あんたがそこにいることは、その子にとってとりあえず幸せなことかもしれない。 だけどそれは、根本的な解決にはならないんだよ ヒメガミだって、それはわかってるんでしょ? あんたのしてることは、あんたがそこにいる理由と同じことなんだよ?」 それでもミカは、反発する。 「それ以上ヒドイ事言わないで!センパイ嫉妬してるんだよ!私がちょっと他のコに浮気したからって! サクラちゃん、ウソだよね?私しんじないからね!ねぇ、サクラちゃん!」 サクラは、何も答えない。 ユカリは、どちらを取るか、自分で決めな、と突き放す。 迷うミカに、サクラは、「もう、いいよ…」と呟いた。 「ごめんね、ミカちゃん。 私がこんな目にあって、私はこんなにさみしいのに、何も知らないミカちゃんがさみしくならない訳ないよね… 私、自分の事だけ考えて、ミカちゃんを同じ目に合わそうとしてた… 」 サクラはミカを解放する。。 ミカは、サクラちゃんも一緒に帰ろうよ!!と叫ぶ。 サクラは、最後まで優しくミカに語りかける。 「ミカちゃん、私達のこと、覚えていてくれる? こんな友達がいたこと、忘れないでいてくれる?」 あたりまえだよ!と叫ぶミカに、サクラは、ありがとう…と答え、別れを告げる。 サクラの姿も他の少女達のようにぼんやりとかすれ始め、花びらのような光に包まれて消えていく。 姫神の少女達は、自らその連鎖を断ち切ることで、自分達も呪縛から解放されたのだった。 後日。3人は元通りの日々を過ごしていた。 ミカはさすがに数日間おとなしかったが、チサトによれば、また探検のネタを仕入れた!とはしゃぎだしたらしい。 その回復力にあきれるユカリの元に、ミカが駆けつける。 「アタシらまだ若い!いつまでも過去のことにとらわれてちゃドントクライ!!」 ユカリ達を追って、ミカも歩き出そうとしたが、風の音に乗ってサクラの声が聞こえた気がして、振り返る。 少しの間立ち止まっていたが、すぐにまたユカリの方へ駆け出した。 サクラの声が響く。 「さよなら、ミカちゃん…」 237 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/16(日) 01 10 31 ID nflfIs/90 続けていきます。 この話は、やっててかなり暗くなります。 怖いのは幽霊そのものじゃない、ていうのもトワイライトの味わい深いところですね。 238 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 13 35 ID nflfIs/90 第六の噂『夕闇の少年』 ユカリはカズヤと喫茶店デートをしていた。 だが、フジタと奥野の騒ぎで、教師の卵として悩むカズヤは、二人の事を考えてユカリと距離を置こうとする。 強がって、気遣いのない傲慢な態度を取り、ユカリはカズヤを傷つけてしまう。 しばらく会うのはよそう、と言われて、 「ねぇ、これでおわりじゃないよね…?」と呟くユカリ。 また一人、雛城高校の生徒が自殺した。 1-CのK・T君。遺書はなかったが、T君がいじめられていたのは周知の事実だった。 ウワサは女子の間に素早く伝播する。 いじめの主犯格は、T君の所属していたバスケ部の男子だったこと。 何をされても愛想笑いをするT君は、女子にも気持ち悪がられてシカトされていたこと。 T君は、部屋でビニール袋をかぶって自殺したこと。 体育器具庫には、T君の霊が出ること。夕方、隅でうずくまっている男の子に話しかけたら、T君だったとか…。 もちろん、ウワサの達人であるミカも、その情報をつかんでいた。 いつものように、見に行こうと提案するミカ。 ユカリは機嫌が悪く、シビアな意見を吐く。しかし、めずらしくチサトが行こうと言い出す。 このままにしておいちゃいけないような気がするの…とうつむくチサトに負け、夕方体育器具庫に行くことに。 体育館履きにはきかえる時に、T君の靴箱を覗いてみると、体育館履きが片方なかった。 部活動が制限されていて、体育館は静か。 器具庫に入って、しばらく待ってみたが、何も起こらない。帰ろうとすると、チサトが反応する。 狭い窓から差し込む夕日が、床に小さな赤い陽だまりを作っている。その中に、T君はいた。 話しかけてみたが、T君は反応せずに消えてしまった。 239 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 16 41 ID nflfIs/90 チサトが、やけにこの件を気にかけていて、3人はT君ことタタラキミヒコの情報を集めることにする。 クラスメイト達は皆口が硬く、責任をなすりつけあっていたが、いじめの主犯格だったのはクラスも部活も一緒のサエキとクロダだったとわかる。 最初の頃は仲がよかったのに、いつの間にかタタラ君は殴られたりミツがされたり。 他に居場所がなかったのか、それでもタタラ君はバスケ部男子達といつも一緒にいたらしい。 サエキに話をしにいくが、サエキはチョイ不良で顔もよく頭の回転も速いスポーツマン、という感じで一筋縄ではいかない。 こちらをバカにしきった態度で、いじめについてものらりくらりとかわされる。 霊のウワサを持ち出すと、「センパイ、頭、大丈夫?」と嘲い、 「そういうの詮索するのって趣味ワルいよ。センパイ達、彼氏いる?」痛い所を突かれて、ユカリは逆上し、チサトを連れて去る。 ミカもサエキも、異性に人気があり、1年生ではヒエラルキーのトップに属している。 「岸井もさー、もっとつきあうニンゲン選んだら?」 「よけいなお世話」 「あ、そ。俺のベル番、知ってるよな?今度連絡して。」 「気が向いたら。じゃーね~。」 ユカリは手を引こうと言うが、チサトはタタラ君の気持ちを知りたいと譲らない。 もう一度夕方に器具庫に行く。同学年のミカの呼びかけにだけ、タタラ君は反応して姿を現した。 タタラ君は、何かを探しているらしい。でもその何かがわからないという。よく見ると、タタラ君は体育館履きを片方しかはいてなかった。 サエキ君たちに何かされたの?と尋ねると 「ううん、ボク、うまくやってるよ。」と答える。 ほんとに?いじめられていないの?ともう一度聞くと 「う、うまくやってるよ…ボクうまくやってるんだ。うまくやってるんだあぁぁっぁぁ!!」 T君は急に激昂して消えてしまった。 ユカリとチサトは、珍しく仲違いする。 もう関わりたくない、何故自殺した奴に執着するの!?と言うユカリと、 彼の言いたいことを理解したい。私達にも責任のあることなんだから…と言うチサト。 明けて翌日、体育館で事故が発生した。 いじめの共犯だった、バスケ部のクロダが、落ちてきたライトの破片で負傷。入院することになった。 体育館は改装したばかりでライトも新しい。事故であるはずがない…。 チサトが食い下がり、ミカの人気を利用して、クロダのお見舞いにいくことに。 クロダはやや地位の低いDQNといった感じで、サエキより御しやすいが、タタラ君の話題になると似たようなもの。 逆に、タタラとは仲間だったと主張する。タタラの家に遊びに行って、タタラ母に感謝されたこともあるとか。 チサトが、タタラ君の家に行って、サエキ君達とタタラ君の本当の関係を知りたいと言い出す。 ユカリが非常識だと怒り、勝手にすれば!?と言うと、チサトはすっと脇を抜けて、本当に行ってしまった。 ミカもそれを追い、ユカリは一人家へ帰る。 240 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 23 26 ID nflfIs/90 チサトとミカは、タタラ母に話を聞く。 タタラ母は、サエキとクロダの事を、内気な息子に出来たはじめての友達だと話した。 そのサエキ君とクロダ君が、いじめのリーダーだったんです…と伝えるチサト。 タタラ母は、息子は二人の事を本当にうれしそうに話していた、信じられない と言う。 チサトはもう一度、器具庫に行きたがる。このままじゃ、タタラ君はずっとあそこに縛られ続けてしまう…と心を痛めるチサト。 でも、ユカリは来ないだろう…。そんなチサトに、ミカが明るく言う。 「だーいじょうぶ!長谷川センパイなんかいたって役に立たないんですから!」 「?」 「この私がいれば十分!ね?一緒にいきましょ!」 やはり、ユカリは器具庫行きを辛辣に断った。 道すがら、最近やけにユカリがヒステリックだとこぼすミカに、チサトが答える。 「ユカリちゃんね、本当は全然怒ってなんかいないんだよ。 あんな風にいうのは、そうじゃなきゃ耐えられなくなるくらい辛いことが、他にあったからだと思う。昔からそうだから…」 器具庫に着いて、T君に問いかける。事故を起こした事や、サエキ達とのこと。 タタラ君は、わからない うまくやってる の一点張り。 消えそうなタタラ君に手をのばしたチサトに、タタラ君の記憶が流れ込んできた。 241 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 25 34 ID nflfIs/90 この器具庫で、あったこと。 サエキ、クロダ、カワイのバスケ部男子グループ。資金調達係という名目で、お金をみつがされていたこと。 お金を工面できなくなって、コンパを一つおじゃんにして、集合場所のここで謝ったこと。 ニヤニヤと笑いながら蔑まれて、殴られたこと。飛んでくるボールやパイプ、キック、からかいの言葉。 殴られる合間、カワイが聞いてきた。 「タタラ君さぁ、今流行りのいじめにあってるとか思ってない?」 「えっ?思ってない…思ってないよ ボクがしくったんだよ」 「死にたいとか思ってるか?」 「ううん、思ってないよ…」 「……あのさぁ、ちっとは思えよ、タコッ!ボクチンがせっかく苦労して捕まえてきたんだぜ、清陵のコ。 約束も守れねぇヤツがノーノーと呼吸してんじゃねぇよ!」 重い打撃音が響く。ヒーヒーという呼吸音と、謝る声。 「ズイマセン、スイマセン、スイマセン…」 顔を殴るな、と指示するサエキ。体を狙って、途切れることなく続く攻撃。 「さーさー、罰ゲームの時間でーす。さっさと靴ぬげよ」 「なんか最近こいつなれなれしくない?調子のりやがって」 「いいんじゃん?友達ぽくて。ナカマだろ。」 「でもさサエキ、ちょっとヤバくない?50万って…」 「あれ?クロダ、もしかして裏切り2号くん?俺は期待してるぜ、調達係。お仕事取っちゃカワイソウだろ」 「そうそう、それしか存在理由ねーんだからよ。仲間だってよ、ケッ」 「最後に本音言うクセ治せよ、カワイ。」 「ぜってぇ50万持って来いよ」 「な?仲間って結構たのしいだろ?タタラ。」 失神したのは、タタラだったのか、チサトだったのか。 追体験の負荷に耐え切れず、チサトは倒れてしまう。 そのまま、チサトは体調を崩して、寝込んでしまった。 それでもチサトは言う。 私、行かなきゃ…。タタラ君はね、どうしてあそこにいるのか自分でもわかっていない。 痛みに目をつぶっているうちに、どこが痛いのかわかんなくなっちゃったの…。 「タタラ君は、孤独だった。仲間だって言ってくれる人が必要だったの。 だから、サエキ君たちを最後まで信じてた。でもその気持ち、サエキ君たちは利用して…」 242 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 28 14 ID nflfIs/90 親友が倒れ、ユカリがとうとう本気になった。 ガキの分際で!鼻っ柱ヘシ折ってやる!ということで、サエキと一騎打ちするユカリ。 「タタラはまだアンタの事まってるよ。 ひどいことされたのに、見えないフリして、自分をだまして、一度は逃げ出したくせに、未だに未練たらしくうじうじとアンタらを待ってる。 利用されてたことくらい、とっくに気付いてるのに、それを認めるのが怖くて! こいつも確かにサイテーだけど、アンタらはその上いくね!」 それでもシラを切るサエキ。いじめた側も、いじめられた側も、しらんぷり。現実を見たくない。 いじめて相手を殺してしまったこと、いじめられて死んでしまったこと。その現実を怖くて認められない。 強がるのはもうやめな、みじめになるのはアンタだよ。そう言ってユカリは立ち去る。 3人で、また器具庫へ行く。今度はチサトとタタラの一騎打ち。 チサトは、タタラ君に現実を受け入れさせようと長い説得を続ける。 「ねぇ、認めて!悔しかったこと、悲しかったこと、辛かったこと、見ないフリしないで!その憎しみも全部、自分のものだって認めて! そうしなきゃ、ずっとここにいなきゃいけなくなるんだよ!」 「やめろ!やめろぉ!」 「ううん、やめない!私に教えて!考えてること、考えてたこと、感じたこと、言いたかったこと全部…聞いてるから、私ここにいるから!」 ぽつり、ぽつりとタタラ君は話し始め、最後は泣きながら、怒りながら、叫ぶようにサエキ達の事をなじった。 ちくしょう、ちくしょうと繰り返しながら、タタラ君は消えてしまった。 3人は、学校中探して、タタラ君の体育館履きを見つけた。ボロボロになって、焼却炉脇に捨てられていた。 チサトは、それを拾い上げて、タタラ君の靴箱にそっと収めた。 「さようなら…。」 その後、タタラキミヒコの父親が、学校を相手に訴訟を起こし、ワイドショーが事を大きくしていった。 学校がいじめの調査に乗り出した所、サエキとクロダが自ら名乗り出た為、大人たちは肩透かしをくらったような形になったらしい。 今は二人とも、保護観察つきで学校生活を送っている。 ウワサも止み、学校に、またケダルい静けさが戻ってきた…。 タタラキミヒコは静かに眠れたのだろうか。ユカリ達はそうであってほしいと願っている。それが、せめてもの…。 246 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/16(日) 21 22 14 ID Z+5Vxcxs0 あれ。 いじめっこ組のカワイっていうのは無罪放免? 247 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/16(日) 21 56 27 ID nflfIs/90 カワイが一番タチ悪くて、とうてい反省する奴じゃなかったっぽい。 多分、サエキ達が自首したのをこれ幸いに、全部なすりつけたんでしょう。 293 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/19(水) 11 21 24 ID j6YIRhcQ0 議論中ですが、トワイライト失礼。 この話は電話に出続けるだけで解決するのでとても楽です。 294 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/19(水) 11 22 58 ID j6YIRhcQ0 第七の噂『テレホンコール』 真夜中の12時ちょうど、ユカリは自室で電話を取った。 「はい、長谷川ですけど。」 「あのね……あのね……あのね……あのね……あのね……あのね……」 一定間隔で、少女の声が繰り返される。 イタズラ電話だと思って、ユカリは受話器を置いた。 翌日、ミカとチサトにその事を話す。 すると、ミカが都市伝説を持ち出してきた。 「12時ジャストの電話は、死者からの電話だから、取ってはいけない 取ってしまったら、絶対自分から切ってはいけない。切ってしまったら…それは死者からの申し出を受けたことになる。」 チサトも、同じことを聞いたことがあると言う。 チサトは、気になるから調べてみると言ってくれたが、ユカリはただのイタ電だと思っていた。 夕方、ユカリが部屋に居ると、ステレオや時計が壊れてしまった。 タイマーも表示も、何故か0:00で止まっている。 時報を聞いてみると、6時15分だったので、それに合わせておく。 何度か電話がかかってくるが、間違い電話や宅急便等、普通の電話ばかりだった。 チサトから電話がかかってきて、調べた結果を教えてくれる。 やはり、死者からの連絡は昔からよく言われていることらしい。 大抵はこちらに好意的で、だが愛着が強い分、連れに来てしまうこともあるとか。 やはり切るのはよくない。亡くなった人は一つの想いにとらわれがちだから、いったん悪意に変わると… もう少し調べてみるから、また連絡する、と言ってチサトは電話を切る。 また、時計が狂って、0:00になっている。 時報を聞いてみると、今度は時報も0;00を告げた。そんな訳ないのに…。 電話が、何度かかかってくる。 段々と、おかしい電話ばかりになっていく。無言電話、誰かの笑い声、など。 チサトから、電話の意味がわかった!とかかってくる。 その死者は、ユカリにどうしても言いたかったことや、守れなかった約束などがあるらしい。 それをユカリが思い出してあげないと、その人はあちら側に行けないそうだ。 そして、思い出せないでいるとあちら側に連れて行かれるらしい。 今、ほんとの時間は11:30。あと30分で、それを見つけなければいけない。 295 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/19(水) 11 25 16 ID j6YIRhcQ0 誰か古い知人が死んだのか、と昔のアルバムをめくってみるが、 この頃はよかったな…普通に毎日幸せで…という発見しかなかった。 思い出を探ってみるが チサトと出会ったこと 昔つきあってたやつ とうさんとかあさんが別れたこと… そのどこにも心当たりはなかった。 その時、出かけている母から電話がかかってきた。 川越の親戚のサチコちゃん、ユカリの一つ上で、昔はよく一緒に遊んだ…病弱でずっと入院していた彼女が、昨日亡くなったらしい。 サチコ…さっちゃん…。ユカリの記憶が蘇る。 「すごーい!さっちゃん上手!」 「ずっとベッドに寝てるから、いつのまにかうまくなっちゃったの。」 「いいなぁ、これかわいいな。」 「今度もう一つつくっておくから、ゆかりちゃんにあげるね。」 「わぁ!ありがとう、約束ね!」 そして、またかかってきた電話に出ると 少女の声で あのね が繰り返され始めた。それを遮るように、問いかける。 「さっちゃん…?さっちゃんだよね?…どうしたの?」 「ゆかりちゃん……あのね、私…死んじゃった。」 約束、守れない……と呟くさっちゃん。 「いいよ…もういいよ、さっちゃん。」 「ごめんね…私、行かなきゃ。ばいばい、ゆかりちゃん…」 「うん…うん…ばいばい、…さっちゃん…」 ブツ と音を立てて、それきり電話は切れた。 第八の噂『錆びた穽』 ユカリ達3人は、ミカの発案でカラオケBOXにやってきた。 ミカは最新のポップスを、ユカリはお気に入りのロックを歌う。 ミカが歌ってる間に、チサトがそっとユカリを慰める。 教育実習が終わってしまったこと。それと同時に終わってしまったもの。 チサトはカズヤとの事に気付いていたらしい。ユカリは、「気にしないで、アレ、もう終わったことだから」と返す。 チサトにも何か歌わせようとするが、チサトは人生初カラオケで恥ずかしがる。 無理に歌わせたら、選曲は演歌。はいっちゃって、回る回るコブシ。 その間に、ユカリとミカは本題に入る。 カラオケは前菜で、今日も探検の計画があった。 全く工事をしている気配の工事現場。駅前の一等地に関わらず、ずっと放置されているのは何故か? 人骨が大量に出てきたからだとか、埋蔵金が見つかったとか、色々噂がたっているので、それを検証しにいくことになる。 カラオケを切り上げて、工事現場に向かおうとすると、チサトが渋る。 「あんたまだ歌うの?」 「もしかして、気に入っちゃった?」 「えへへ…」 時間まで歌ってから追いかける、というチサトを置いて、ユカリとミカは問題の場所へ。 「しかし、逸島センパイ、あんなハマるとは…」 「あんたのせいでしょ。悪いことばっか教えて…」 「メンエキがないってのは、こわいですね~」 工事現場に潜入したら、中は掘り返したまんま放置されていた。 一番下まで降りてみると、そこには謎のハッチが。 開けてみると、中には深い穴が続いている。これが出てきたから、工事はストップしたのか? 目印にゲーセンで取ったぬいぐるみを吊り下げて、二人は降りていった。 中は、トンネルに作られた基地のようになっていた。 錆びた配管が通り、各所にドアがある。戦時中のようなスローガンが貼ってあって、マニアックな雰囲気。 発電機が稼動していて、人の気配もある。どこかの戦争マニアの趣味なのだろうか? 探索中、兵隊の格好をした人を見つける。水を取ってきてくれと頼まれて、井戸で水をくんで渡す。 ある部屋に入ると、そこは手術室のような場所だった。消毒薬の臭いと、嫌な感じがする。 そこを出ようとすると、ゲートルを巻いた老人に捕まった。 何故疎開していない?とにかく大丈夫だ、この地下壕までは爆撃は届かん、と言う老人。 匿ってやる と老人に連れられて、貴賓室へ通される二人。 本来ここは民間人が入れるような所ではないが、非常時だからな とのこと。 「ワシもずいぶん長いことこの壕に潜っている気がする。最初の大空襲の頃からだが…」 老人は、地上の戦況を訊いてくる。 どうやら、頭のイっちゃった軍事マニアの大富豪だろう、と見当をつける二人。 ここではある軍事機密である作戦が行われているらしい。 この作戦が成功すれば、米兵など怖るるに足らず。日本を必ずや勝利に導くと請け負う老人。 老人はいい人で、上には内緒で二人を匿ってくれるらしい。 妹から来た手紙を嬉しそうに話す。妹は広島に疎開して、農業を始め、胡瓜が取れたと手紙を送ってきたそうな。 調子を合わせておいて、老人が去った後逃げ出す二人。 だが、途中にある扉が開けられず、出口に戻れない。足音が聞こえて、近くの部屋に逃げ込む。 カーテンので隠れていると、老人が入ってきた。誰かに何かを報告している。 準備は整いました!あとは、満月を待つばかりであります!と謎の報告をする老人。 すると、誰も居ないはずなのに声が返ってくる。 金剛が完成すれば戦争が終わる と嬉しそうに話をする二人。老人は相手を少佐と呼ぶ。 老人が去った後、部屋を見回してみたが、やはり誰も居ない。 ただ、禍々しい感じの軍人の肖像画が壁にかかっていた。 その後、ユカリとミカは金剛区画と書かれた場所に迷い込む。 すると、老人に見つかってしまった。この場所はズバリ機密そのものらしく、二人は薬を嗅がされて眠らされる。 貴賓室へ戻されて、今度は鍵をかけられてしまった。機密に触れたからには、外に出す訳にいかないそうだ。 どの道、地上に出れば死ぬだけだから、日本が勝つまでの辛抱だ。 もうすぐ作戦が成功して戦争は終わるから、大人しくしていてくれ、とすまなそうに言う老人。 その頃、歌いつくして満足したチサトは、延滞料金を払って店を出た。 工事現場に着き、目印を見つけて、壕へ降りていく。 チサトは、ここが非常に危険な場所だと察知する。遊びで来ていいところではない。 二人を連れ戻そうとして彷徨うチサトに、出会った兵隊が鍵束をくれた。水のお礼だ、と二人が監禁されている場所も教えてくれる。 一方ユカリとミカは、次に老人が来たら倒して逃げようと待ちかまえていた。 足音が近づいてきて、ユカリは必殺技の構えを取る。 ユカリの快心の一撃は、扉を開けたチサトにクリティカルヒット。 しゃがみこんでしまったチサトに慌てて謝る二人。 3人で逃げ出そうと歩いていると、少佐の部屋から話し声がする。 盗み聞きしてみると、どうやらユカリ達の話をしているようだ。 悲願の最終兵器、金剛鉄兵。あとは少佐が満月の晩に儀式を行えば完成する。 その非常時に民間人を入れた事に激怒し、即刻始末するように命令する少佐。 必死でユカリ達をかばい、あの部屋から一歩も外に出しませんとねばる老人。 部屋に突入すると、やはりそこには老人しかいなかった。 「お前達…本当に敵国のスパイだったのか…騙しおって!」老人は銃を構えて追ってくる。 逃げているうちに、金剛区画を抜けて、今までと様子の違う部屋に辿り着いた。 そこは不退転の間。ろうそくの灯る、呪術的で妖しい部屋だった。 カーテンの陰に安置された柩のようなものを覗くと、そこには歪で大きなヒトのような何かが横たわっていた。 禍々しく、目を背けたくなるような、生きている何か。これが恐らく、兵士達を素体とした生体兵器、金剛鉄兵。 老人が追いついてきて、銃を構える。とうとう金剛まで見てしまったか…生かしてはおけないと。 3人は、必死で説得する。ユカリが叫ぶ。 「戦争は終わったのに…!」 老人の中にも、ユカリ達と会った事でかすかに迷いが生じていたらしい。戦争は、もしかしたら終わっているのではないか?と。 ユカリの一言で、老人は揺らぎ始める。 そこで、更に説得を続ける。 もう、ずっと昔に戦争は終わったんです。日本は負けたの!ヒロシマとナガサキに原爆を落とされて… 原爆!?新型爆弾が使用されたのか?ヒロシマ…まさか、広島には妹が! 信じまいと苦しむ老人に、ユカリがつぶやく。 「戦争は、終わったんです…。」 その時、金剛鉄兵が動き始めた。 「まだ動いちゃいかん!そんな体で動いては…!」 金剛鉄兵は、ユカリ達を敵だと認識したのだろうか。戦争が終わったという事を否定する為に立ち上がったのか。 お前達は逃げなさい、と老人は言う。 一緒に逃げようというと、老人は遣り残したことがあると言う。 3人は教えられた道を逃げ、水路に飛び込んだ。そのまま流され、地上に出ることが出来た。 外に出ると、夜が明ける頃。あの工事現場の方を見ると、噴出すように爆煙が上がった。 老人の遣り残した事は、機密の爆破だったのか…。 チサトが呟く。 「50年も、一人で戦争をしていたんだね…。」 その爆発を、ミカが写真に収めた。 後日写真を見ると、立ち上る煙に絡んで、無数の光の筋が空に向かっていくのが写っていた。 あの暗い穴に閉じ込められいた魂達は、きっと開放されたのだろう。 193 :ゲーム好き名無しさん:2008/08/02(土) 16 51 48 ID nl5Npas90 トワイライトシンドローム第九話投下します。 ユカリがツンデレからヤンデレに進化しかけました。 194 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 16 52 32 ID nl5Npas90 第九の噂『オカルトミステリーツアー』 夕暮れの街角に、ひっそりと辻占が佇んでいる。ユカリはなんとなくその前で足を止めた。 占ってもらうと、 ・ユカリは激しい変化の中にいて、行く先がわからず悩んでいること。 ・大事な人を失ったこと ・今まで自分を信じてやってこれたのに、はじてめての心細さを感じている事 を言い当てられ、更に、貴方にはこの世の外に力が加わっているみたい と言われる。 そして、貴方の心の奥深くに小さな女の子が隠れている、と言われ、占い師の催眠を助けに、目を閉じて自分の心に意識を集中する。 ユカリの頭に、幼い少女の笑い声が聞こえた。あの日、最初の冒険で出会った少女の声だった。 「あなたはこの子にもう一度出会うでしょう。それによってあなたの運命は大きく変わっていく…」 あなたは、近いうちに大きな選択を迫られる事になるでしょう。 占い師の声が途絶え、目を開けると、そこには誰もいなかった。 学校でミカが、一番最初の冒険の話を持ち出してきた。 旧校舎に出る、おかっぱの少女の霊。その子を呼び出すと、願い事が叶うという噂。 最初の冒険は失敗して、追い掛け回されて命からがら逃げただけに終わった。 「あれは呼び出し方が悪かったんです!今度のはもうバッチリ!」 チサトは嫌がるが、結局、その噂にリベンジ挑戦することになった。 夜の学校に忍び込むが、いつもと勝手が違う。 もうカズヤはいないから、ユカリは鍵束を借りる事はできない。行けない所が多く、逃走毛色にも制限有。 今回の呼び出し方は前回より手が込んでいる。学校の鬼門となる美術室で、わらべ唄を歌うと言うもの。 「庄屋のおじょうさん 小紋の小袖 髪あげ前の おかっぱあんで 橋のむこうの オケ屋のせがれ かんざし買って 石段のぼって おいなりさんに あぶらげあげて グルグルまわる 三回まわる 願掛けそうろう 豆食ってそうろう 門松市松 かがんでくぐって 関のお山の守り人さん 愛しいあの子と結んでくりゃさんせ」 歌ってみたけど、特に変化はない。女の子の霊が出たか、旧校舎まで確認しにいくことに。 旧校舎の一室に、明かりが灯っているのが見える。蛍光灯ではない。明かりは、床のほうから灯っているのだから…。 その教室は、旧校舎の鬼門、一番北東の教室。 そこまで行ってみることになるが、教室に近づくと、明らかに異変が起こっているのが分かる。気温がとても低い。 扉を開けると、そこには青白い光が浮かんでいた。 チサトはその光を怖がり、あの女の子とは何も関係ないとても悪いモノだと言う。 3人はひとまずその場を逃げ出す。 195 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 16 57 20 ID nl5Npas90 校舎の中には、霊が沢山出現している。あの光の中から出てきたようだ。 自分達は、大変なことをしてしまったらしい。 校舎を逃げ惑う内に、ユカリは二人とはぐれてしまった。 生物室を覗くと、ぼんやり霞む少女の後姿が目に入った。 彼女はすすり泣き、ブツブツと自分を振った男への未練を口にしていた。手首からは血が流れている。 直感的に、フジタマユミだと思うユカリ。あの時、彼女は成仏できなかったのだろうか。 「…違う!フジタマユミは…」首を吊って死んだんだ。 少女は、別れた男への恨み言を口にし続ける。 「あんな一方的に言うなんて、ひどすぎるよ… そう思ったらくやしくなっちゃって…ゆるせない …ゆるせない!ゆるせない!!ゆるせない!!!」 「違う!違う!私は…」 ユカリがたまらず叫ぶ。 「私はそんな風に死んだりしないよ!!」 「…カズヤ…」 言いながら振り向いた少女の顔は、ユカリと同じだった。 気がつくと、ユカリはチサト達に介抱されていた。生物室に倒れていたらしい。 合流し、自分達が召喚してしまった何かを封じる方法を探す。 生物室に、いつもの鍵束がぽつんと置いてあった。生物の先生がしまい忘れたのだろうか? 有難く拝借する。通行制限解除。 196 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 00 39 ID nl5Npas90 校舎内の怪奇現象はますますひどくなっていく。自分達が召喚したのは、霊たちが出てくる出口だったようだ。 霊たちは口々に苦痛の声を上げている。 苦しい 開けてくれ 出口を開けてくれ ここから出たい 帰りたい 自分達が開けてしまった扉は一方通行で、押し出された魂達が行くことも帰ることも出来ず苦しんでいるのだろうか。 わらべ唄しか自分達には材料が無いので、歌詞をよく見直してみる。 この唄は、おかっぱの女の子を呼ぶ唄としてはおかしい。 オケ屋のせがれが、庄屋の娘に会うために、橋を渡してくれと お稲荷さんと守り人に頼んでいる。 オケ屋のせがれとは何の象徴なのか?何故自分で川を渡れないのか?これは、死者を此岸に渡すための歌なのだ。 どの道、手札はこの唄しかない。この唄を、然るべき場所で歌えば、霊の帰る道が出来るんじゃないだろうか? その場所はどこなのか、歌詞とにらめっこしながら考える。 関のお山って関所のこと?人の出入りを司る所と言ったら、玄関のことだろうか。 そこで、チサトが閃いた。 「玄関だよ、ユカリちゃん…あの人たち、霊の世界に帰りたがってたんじゃないんだよ…」 霊たちは、もう一度生者の世界に帰りたいと呻いていたのだ。 霊たちが目指していたのは、この学校からの出口だ。そこを封じないといけない。 3人は、一か八か玄関でもう一度わらべ唄を歌った。 校舎内の霊魂達が、開いた出口に飛び込んでいった。霊たちを飲み込んだ出口は校舎中を発光させて、消えてしまった。 最後にチサトの視点での後日談が入る。 死者と私達の境は何なのか… いつかは必ず、自分達も彼らの仲間入りをするというのに、私達は彼らを恐れ、拒絶する。 私達が開いた扉から見えた、生者の世界の眩い光。それが彼らにどんなに渇望を抱かせたか。チサトはその事に罪悪感を覚える。 そして、あれ以来、ユカリの様子がおかしくなった。はぐれていた間、ユカリが死者達からなにを見せられたのか… チサトは今日も心配し続けている。私達は死者に近づきすぎたのかもしれない…。 「この穏やかな生者の世界で、私達はいつまで生という夢にまどろみ続けていられるのでしょうか…。」 197 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 09 02 ID nl5Npas90 続けて最終話です。 あの街の名前は「夕闇ヶ丘」じゃないでしょうか。第3話的な意味で。 198 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 10 55 ID nl5Npas90 第十の噂 「裏側の街」 ユカリは夢を見た。夕焼の中、小さな女の子が滑り台を何度も滑り続けていた。 珍しく寝坊して、母親に起こされ、お隣りのチーちゃんー幼稚園の可愛い女の子が昨日行方不明になったと聞かされた。 チーちゃんがいなくなったのも公園だったらしい。あの夢は予知夢だったのだろうか…。 夏休みに入ったが、その日は登校日。ミカとチサトにその夢のことを話すと、その公園に行ってみようという事になった。 すべり台を、女の子の真似をして何度も滑ってみる。 同じ所をぐるぐる回ると別世界に迷い込む、という民間伝承もあることだし…。 当たりは夕闇。トワイライト。死者に近づきすぎた3人が、女の子の消えた公園で、ぐるぐるとすべり台を滑る。 3回目を滑り終わった時、雷が鳴った。夕立がくるのかもしれない。 急いで公園を出ると、そこは 自分達が知っている街ではなかった。 ここは駅にどちら側?PARCOはどこにいってしまったんだろう。町並みは妙に古く、紙芝居屋なども出ている。 街に立つ人たちに話しかけると、皆どこかおかしい。自分の名前を言えなかったり、何処から来たか覚えてなかったりする。 その内にチサトが、胸騒ぎがすると言い出した。 「ねぇ、今日何日か覚えてる?8月なのまでは覚えてる。でも何日なのかが…」 「何言ってんですか?今日は登校日だから……あれ?」 今日が何日なのか、誰も思い出せなかった。 広場に出ると、皆街頭テレビに夢中になっていた。 老紳士が説明してくれた。あのテレビに映るのは人々それぞれの記憶。 みなそれを慈しみ、ここで別れを告げるのだという。訳が分からない内に、どこかの路地に紛れ込んでしまった。 夕陽が心地よく、自分が暖かさの中に溶け出していくような気持ちになる。その気持ちと戦いながら、先を急ぐが、路地裏がループして出られない。 その内に、3人はクラスメイトの顔が一人も思い出せないことに気付く。 路地で夕涼みをしているおばあさんに、この街について訪ねると、おばあさんはここを「お彼岸の町」だと言う。 橋を渡れない悲しいホトケさん達は、この町で夕日にゆっくり溶かされて、全てを忘れて彼岸へ旅立つのだと。 おばあさんは、ここでおじいさんを待ってるらしい。もう、おじいさんの顔は思い出せないけど…。 199 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 14 10 ID nl5Npas90 「でも私達、生きてるんです…迷子になっただけなのに…」 おばあさんは、この町を出るには橋が一本かかっているだけだという。彼岸に渡る為の橋。 3人は、この町から出るために、他の方法を探す。 ループを抜けて、教会にたどりつく。 神父に相談する内に、自分達のことを少し思い出す。 そして、神父は、3人が死者に近づきすぎたことや、ユカリが生きる事に対する迷いや苦痛を感じていたことを見抜く。 死に近い者は、死者の世界に迷い込んでしまう事があるらしい。ユカリの迷いが二人を巻き込んでしまった。 3人は町に戻る。ユカリは、自分が2人を死へ誘い込んでる事に責任を感じる。 自分の、迷いに対する答えを探さなければならない。 でももう、その迷い自体も、記憶もほとんど失われてしまった。家族のことも思い出せない。 ユカリは、チサトと昔好きだったコックさんの絵描き唄の話をする。どんな唄か忘れちゃったけど、楽しかったね。 童心に返り、色々な話をしながら土手を歩いた その内に、3人は橋へと辿り着いてしまった。 夕焼けがとってもきれい。あっち側で見たらもっときれいだよね。 もう橋を渡ってはいけないことも思い出せず、ユカリは橋へ向かって歩き出す。 ミカとチサトは、本能的に橋を渡る事にためらいを感じて立ち止まる。 「ユカリちゃん戻って!」 「センパイ!その先はダメです!」 二人の制止を聞かず、ユカリは橋を夕日に向かって歩いていってしまった。 ミカとチサトは、ユカリにひきずられてここに迷い込んだだけ。ユカリがいなくなり、二人は夢から醒めるように元の世界へ戻っていた。 二人は、ユカリが戻ってくると信じて、ユカリと近い場所を探そうと走り出す。 200 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 17 11 ID nl5Npas90 ユカリは、夕焼けの中をいい気持ちで歩いていた。 見覚えのある道を登ると、そこは雛城高校。確かにここを知っている気がした。 夕日に満ちた世界で、小さな女の子が砂にコックさんの絵を描いている。会ったことがある気がする。 その子を追いかけて、ユカリは校舎の中へ入っていく。 校舎を歩く内に、段々ユカリは記憶を取り戻していく。 ミカとチサトとはじめて探検した時、ここから入った…カズヤに借りた鍵で…。 カズヤとの最後のデート、喫茶店で、カズヤを傷つけてしまったあの時のことが再生される。 虚勢を張って、傲慢に振舞っている自分を見ながら、ユカリは後悔する。 違うよ、こんなの全部嘘だったんだよ。私だってカズヤと一緒にいたいだけだよ… 廊下の先に、小さな女の子が立っていた。ユカリは、チーちゃんの事をなんとなく思い出した。 「あなたはチーちゃん?私、お隣のユカリ。一緒に帰ろう。」 逃げる少女を追ううちに、また記憶が蘇ってくる 父さんに、離婚のことを切り出された時の記憶が再生される。 強がって、何でもないことのように振舞った自分を見ながら、ユカリは苦しむ。 その先は聞きたくないよ。本当は嫌だよ。父さんと母さんが別れるなんて、私絶対認めないよ… 強い子だと言う父さんの声にユカリは心の中で叫ぶ。 強くなんかない!私は全然強くなんかないよ!やだ…行かないで、父さん… カズヤと雨の中出会った事。ずぶぬれのまま自転車のチェーンを直していた自分に、カズヤが傘を差しかけてくれた。 カズヤが見てくれたけど、結局直らなかった。父さんからもらった大切な自転車だったけど、もう寿命だった。 結局二人ずぶぬれになって、自転車を押しながら相合傘で歩いた チサトと出会ったのも、夕焼の中だった。雛城に引っ越してきて最初にできた友達。大切な親友。 あの公園でよく遊んだ。いつだったか、あのすべり台に座って、二人で夕日を見た。 「ユカリちゃん、帰らないの?くらくなっちゃうよ」 「お母さんね、お父さんのこと、きらいなんだって…お父さんも、お母さんのこと、おこるの…」 「ユカリちゃん…」 「帰りたくない。わたし、おとうさんもおかあさんも…きらい」 流れてくる記憶を受け止めながら、ユカリは夕暮れの校舎を歩く。 入学式、両親に素直じゃない態度を取った事。 ミカと出会った時の事、初対面からなれなれしい奴だった。 3人でうさんくさい噂を検証して回った事。明るくはしゃぐミカ、おだやかに微笑むチサト…。 はじめての噂の時、おかっぱの少女に出会ったトイレの前を通りかかった。 あの時と同じように、3回回ってみる。あの時は、この後屋上に行ったっけ…。 201 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 20 48 ID nl5Npas90 チサトとミカの声が聞こえた気がして、階段を登った。世界には夕焼けがいっぱいに広がっている。 押し寄せてくる記憶の洪水に飲み込まれ、暗転し、気がつくとそこは屋上だった。 おかっぱの少女がユカリを待っていた。 「おねえちゃん、どうしてこんなとこにいるの?」 「あたし…」 「だめだよ、おねえちゃん。こんなとこにはいってきちゃ。 ここは夕焼けの町。死んだ人が最後にたどりつくところ。 嬉しかったことも、悲しかったことも、夕日がバターみたいに溶かしてくれるの。」 「…。」 「でも、おねえちゃんは、まだちがうよ。まいごになっちゃったの?」 帰りたい?と少女に聞かれて、ユカリは戸惑う。 もう、いいかもしれない。疲れてしまった。どうせ一人ぼっちだし、このまま…。 「でも、おねえちゃん、ずっといっしょだったよ? ここにのぼってくるときも。気がつかなかった?」 そういえば、声が聞こえた気がした。誰かの声が…。 わかっていた…思い出した…ずっと感じていた…。 「本当は帰りたいの! でもあたし、もう自信ないよ 必死に意地張って、強いフリして 本音に気付かれないように…気づかれないようにしながら もうそうやって生きていく自信がないの!」 本当は離れたくない、チサトやミカとずっと一緒にいたい。 でも… おねえちゃん、まってるひとがたくさんいるね。きこえない? 少女にそう言われてユカリは気がついた。 幼い少女の泣く声が聞こえる。気がつくと、目の前に立っているのは、おかっぱの少女ではなく、チーちゃんだった。 すすり泣く少女越しに、ビルが見える。見慣れた風景だ。帰ってきた。元の世界に帰ってきた。 振り向いたユカリの目には、こちらへ歩いてくるチサトとミカが映っていた。 エンディングを挟んで後日談。 夏休みが終わり、3人は教室から空を見上げていた。 結局、噂の検証をしてる内に休みはパァ。若い娘らしい秘め事もなく…。 「まぁ、シゲキ的なコトは二学期に期待ってとこですね!」 振り向くと、ユカリとチサトは教室を出て行くところ。 慌ててミカも後を追う。まだキツい日差しが、誰も居なくなった教室を明るく照らしていた。 ー「噂」終了ー 202 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 52 34 ID nl5Npas90 この後、prankという話が出てきますが、それはムーンライトの宣伝なので、 トワイライト無印はこれで終わりです。
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1305.html
トワイライトシンドローム~究明編~ ・第五話~第七話 part37-232~242,246,247,293~295 ・第八話 part40-182、wiki直接編集 ・第九話~第十話 part40-193~203 232 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 00 58 03 ID nflfIs/90 第五の噂『雛代の杜』 ミカとそのお取り巻きは、図書室の奥の机に妙な落書きを見つける。 「お友達が欲しいんです…誰か私と机の上で文通してください」 ミカ達は面白がり、からかい半分でミカが返事を書いておいた。 ユカリ達にも報告しにきて、呆れるユカリ。 しばらくして行ってみると、返事が書いてあった。 ミカはそれにまた返し、するとまた返ってきて…という内に、段々相手のことが分かってきた。 その子は女の子、イニシャルはS・H。クラスや本名は恥ずかしいからヒミツ。 二年生で、おとなしくて本が好き。風立ちぬ、という小説を読んだばかり。 放課後はいつも図書室奥の机で本を読んでいる。そこの窓からの景色が好き。 体が弱くて、友達はあまりいない。流行にも鈍感で、歌や服にくわしくない。 彼女は流行に異常に疎くて、ミカが何気なく書くアーティストの話題などに全くついてこれない。 がんばるから流行のことを教えて、と書いてあったので、ミカはあらゆる最新情報やおしゃれのヒケツ等、自分の得意分野を伝授すべくはりきる。 いつの間にか文通は長く続き、友達が皆飽きてもミカはせっせと返事を書き続けた。 しばらくして、ミカがまたユカリ達に報告に来る。 「センパイ、アタシ怖くなってきちゃった。なんかあの子変なの。まるで、ずっと昔の人みたい…」 「だったら、文通、返事書くのやめときな」 「うん、でも…なぜか、やめられないの…」 233 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 00 59 56 ID nflfIs/90 チサトが嫌な噂を聞いて、ユカリに話す。 ミカの机上文通が、最近妙な雰囲気らしい。S・Hからの返事に、死ぬ、とか寂しい、とかいう言葉が目立ち始めたという。 ミカの事を心配する二人。 それをよそに、S・Hからの返事はエスカレートしていった。 ミカちゃん、ごめんね。私、もうお返事できないかもしれません。 私、もうすぐ死ぬから。 変なこと書いてごめんね。でも、これは決められていた事。私の運命。 おかあさんも、おねえちゃんももう死んでいます。 おねえちゃんは3年前、だから今度は私の番…。 小さい時からずっと覚悟をしてきたつもりだったけど、もうすぐ…と思うとやっぱり怖いです。 ミカちゃん…ひとりで死ぬのはさみしいよ… ミカちゃん…もうそろそろ、さよならです。 でもその前に…会いたいよ、ミカちゃん… 今日、行きます。 行く前に一度だけ会ってください。 午後六時半、裏山の社で待ってます。 ミカが、消えた。文通の結末を見て、裏山に探しに来たユカリとチサトの目の前で。 ガケから宙に身を躍らせて、彼女は落下せずにそのままかき消えてしまった。 やはり、ミカが文通していた相手は、ただの人間ではなかったのだろう。 そして、多分S・Hはミカを道連れにしようとしている。 今なら間に合うかもしれない。二人はS・Hの情報を求めて、図書室に戻る。 彼女の少ない手がかり、好きな小説は風立ちぬ。図書室を探して風立ちぬを見つけ、古い先生に聞いてみる。 先生は、昔女生徒が寄贈してくれたものだと言う。寄贈者欄をみてみると、そこに名前が書いてあった。 「寄贈 昭和38年 姫神 桜」 ヒメガミ・サクラ。S・H。 新聞の縮刷版で、彼女が30年前に裏山のガケから転落して死んだ事を知る。 ついでに、ミカのように消える超常現象についての文献も調べる。 神隠しや民話の文献を漁っていると、自分達の住んでいる武蔵野の名前が出てくる。 武蔵野の民話を調べると、雛城の話が載っていたが、城の字が違う。昔は、雛代と書いていたようだ。 載っていたのは、お内裏川を上流へ辿った人が、皆消えてしまう話。あの川をさかのぼると、異界へ飛んでしまうのだ。という民話。 お内裏川を古い地図で調べると、そこは、この学校の裏のドブ川のことだった。 昔は、雛流しなどの風習がその川で行われていたらしいが、今はコンクリートで覆われ、地下を走る汚れた川になってしまっている。 半信半疑ながら、手がかりはこれだけ。二人は川に下りて、足場を上流へ歩いていく。 ミカがいる所に連れて行って と願いながら。 234 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 01 39 ID nflfIs/90 その頃、ミカは霧の深い森で、ヒメガミサクラと対峙していた。 やっと会えた事を喜び、色々な話をする二人。 川をさかのぼったユカリとチサトは、裏山の森の中に出る。 でも、きっとここは知っている裏山とは違う。裏山の、更に裏の、知らない世界。 「ミカちゃんを取り戻せる自信、ある?」 チサトがユカリに尋ねる。 「ヒメガミサクラさんの想い、すっごく強く感じる。ミカちゃん、取られちゃうかもしれないくらい…。」 ユカリは、正直自信は無いと答える。 「ヒメガミサクラから取り戻せる程、私がミカに執着してるかわからないよ。 新学期よりは気になるようになったけど、中学の時の友達みたいに、会わなくなったらすぐ忘れちゃうのかもしれない。」 二人は黒い森をひたすら彷徨うが、森はループを繰り返す。二人の行く手を阻むように。 一度引き返すと、お堂を見つけた。中には、ひたすら三味線を引き続ける法師がいた。 チサトが、法師に不思議なお願いをする。 友達を探しているんです。お願い、次の場所に行かせてください。あなたの守っているものに悪さはしません。 法師の弾く曲が変わり、チサトはお礼を言ってお堂を出る。ユカリも、訳が分からないが後に続く。 二人を迷わせていた森は姿を変え、進むべき道を示した。 誘うように飛ぶフクロウを追って、その道を駆け抜け、二人は異世界に辿りつく。 その頃、ヒメガミサクラが、ミカにおひなさまの話を始めていた。 お雛様とは、女の子が健やかに育つよう、その厄を全て背負って、流される為のもの。 言ってみれば、女の子達の幸せの為に捧げられる、イケニエ。 悲しい話題を嫌がるミカに、サクラは続ける。 「ミカちゃんは、前向きで、明るくて、生きる喜びに輝いてる。私達にはまぶしいの。 私達は、そんな輝きは持てない。いずれ流される、雛だから…。」 サクラちゃんも、おひなさまなの?と尋ねるミカに、サクラは 「ミカちゃんだってそうだよ。だから、ずっと一緒にここにいよう。」と言う。 「そうなんだ…。」思考を何かに侵されるように答えるミカ。 ミカはサクラに色々な事を話した。好きなブランド。中々いい新譜。メンバーズオンリーで感じのいいクラブ。 そして、話が友達の所へさしかかり、ユカリのことを思い出す。 ユカリが心配しているかも…と帰りたがるミカを、サクラは優しく押しとどめ、話の続きを促す。 235 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 04 35 ID nflfIs/90 ユカリとチサトは、ミカを探す途中、元の裏山にあったのとにそっくりな社を通りかかる。 中を調べてみると、奉納されたものの中に、ヒメガミサクラの日記を見つけた。 それを読んで、ヒメガミ家のお役目について知る。 ヒメガミ家の女の子は、お内裏川の災いを鎮める為、17になったら自らの命を絶たねばならなかった。 ヒメガミサクラも、姫神としてお内裏川に身を捧げた、イケニエだったのだ。 サクラの日記には、そうなるに至った歴史も綴られていた ずっと昔、お金持ちの家の少女の病を治すために、ある少女がイケニエとして捧げられた。 彼女が庶子だったという理由だけで、村の人達は、泣いて謝る彼女をお内裏川に投げ入れた。 そして、彼女の死と引き換えに、病の癒えた少女は、幸福を手に入れた。 それに、どんな意味があるのかは、わからない…。 でも、彼女の生は、その少女の幸福よりも無意味だったのだろうか。 それだけの理由で、彼女は生きることが許されなかったのか… イケニエとなった少女の悲しみは、お内裏川に渦巻き、村には災いがおとずれた。 少女の悲しみを癒す為、ヒメガミ家の少女達は、代々イケニエに捧げられ続けた。 少女達は、この裏山、形代山で死に、お内裏川に捧げられていた。 この山は、少女達の悲しみの連鎖が、深く沈み積もっている場所なのだ。 その風習が止んだ今も、少女達の嘆きが新しい少女を呼び寄せ、連鎖が続いていく。その一番新しい少女が、ミカ…。 はやくミカを取り戻さなければ…でもどこにいるのかが分からない。 焦るユカリ達は、社の窓から見える風景に違和感があるのに気付く。 この社の向こうは、湖だったはず。でも、窓からは、森が見える。 そして目をこらせば、そこにはミカともう一人の少女 ヒメガミサクラが立っていた。 ミカを必死で呼ぶユカリ、その声に気付くミカ。 また帰りたがるミカに、サクラが優しく語りかける。 「どうして?ミカちゃんが居るべき場所は、ここだよ。 あの人達、他にたくさんの光を持ってる。でもここの光は、ミカちゃんだけなの。」 「ミカちゃんに行って欲しくないって、皆言ってるよ…」 サクラの呟きに合わせて桜が吹き、ぼんやりとした少女達の輪郭がミカにも見え始める。 いかないで…ずっとここにいて… 少女達は口々に呼びかけてくる。 ユカリも、負けじとミカに呼びかける。チサトのアドバイスに従いながら、サクラの正体をミカに教える。 ミカは、信じない。 「ウソだよ!だって、サクラちゃん、こんなにやさしいのに!」 サクラは、何も言わない。 「サクラちゃんが死んでる訳ない!だってここにいるじゃない! サクラちゃん、すっごくいい子なんだよ!話してても、今時の娘とは思えないくらい………いまどきの こ…?」 ハッとするミカ。サクラは、ただ ミカちゃん… とだけ言った。 236 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 06 55 ID nflfIs/90 ユカリが更に畳み掛ける。 「ミカ、あんたがそこにいることは、その子にとってとりあえず幸せなことかもしれない。 だけどそれは、根本的な解決にはならないんだよ ヒメガミだって、それはわかってるんでしょ? あんたのしてることは、あんたがそこにいる理由と同じことなんだよ?」 それでもミカは、反発する。 「それ以上ヒドイ事言わないで!センパイ嫉妬してるんだよ!私がちょっと他のコに浮気したからって! サクラちゃん、ウソだよね?私しんじないからね!ねぇ、サクラちゃん!」 サクラは、何も答えない。 ユカリは、どちらを取るか、自分で決めな、と突き放す。 迷うミカに、サクラは、「もう、いいよ…」と呟いた。 「ごめんね、ミカちゃん。 私がこんな目にあって、私はこんなにさみしいのに、何も知らないミカちゃんがさみしくならない訳ないよね… 私、自分の事だけ考えて、ミカちゃんを同じ目に合わそうとしてた… 」 サクラはミカを解放する。。 ミカは、サクラちゃんも一緒に帰ろうよ!!と叫ぶ。 サクラは、最後まで優しくミカに語りかける。 「ミカちゃん、私達のこと、覚えていてくれる? こんな友達がいたこと、忘れないでいてくれる?」 あたりまえだよ!と叫ぶミカに、サクラは、ありがとう…と答え、別れを告げる。 サクラの姿も他の少女達のようにぼんやりとかすれ始め、花びらのような光に包まれて消えていく。 姫神の少女達は、自らその連鎖を断ち切ることで、自分達も呪縛から解放されたのだった。 後日。3人は元通りの日々を過ごしていた。 ミカはさすがに数日間おとなしかったが、チサトによれば、また探検のネタを仕入れた!とはしゃぎだしたらしい。 その回復力にあきれるユカリの元に、ミカが駆けつける。 「アタシらまだ若い!いつまでも過去のことにとらわれてちゃドントクライ!!」 ユカリ達を追って、ミカも歩き出そうとしたが、風の音に乗ってサクラの声が聞こえた気がして、振り返る。 少しの間立ち止まっていたが、すぐにまたユカリの方へ駆け出した。 サクラの声が響く。 「さよなら、ミカちゃん…」 237 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/16(日) 01 10 31 ID nflfIs/90 続けていきます。 この話は、やっててかなり暗くなります。 怖いのは幽霊そのものじゃない、ていうのもトワイライトの味わい深いところですね。 238 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 13 35 ID nflfIs/90 第六の噂『夕闇の少年』 ユカリはカズヤと喫茶店デートをしていた。 だが、フジタと奥野の騒ぎで、教師の卵として悩むカズヤは、二人の事を考えてユカリと距離を置こうとする。 強がって、気遣いのない傲慢な態度を取り、ユカリはカズヤを傷つけてしまう。 しばらく会うのはよそう、と言われて、 「ねぇ、これでおわりじゃないよね…?」と呟くユカリ。 また一人、雛城高校の生徒が自殺した。 1-CのK・T君。遺書はなかったが、T君がいじめられていたのは周知の事実だった。 ウワサは女子の間に素早く伝播する。 いじめの主犯格は、T君の所属していたバスケ部の男子だったこと。 何をされても愛想笑いをするT君は、女子にも気持ち悪がられてシカトされていたこと。 T君は、部屋でビニール袋をかぶって自殺したこと。 体育器具庫には、T君の霊が出ること。夕方、隅でうずくまっている男の子に話しかけたら、T君だったとか…。 もちろん、ウワサの達人であるミカも、その情報をつかんでいた。 いつものように、見に行こうと提案するミカ。 ユカリは機嫌が悪く、シビアな意見を吐く。しかし、めずらしくチサトが行こうと言い出す。 このままにしておいちゃいけないような気がするの…とうつむくチサトに負け、夕方体育器具庫に行くことに。 体育館履きにはきかえる時に、T君の靴箱を覗いてみると、体育館履きが片方なかった。 部活動が制限されていて、体育館は静か。 器具庫に入って、しばらく待ってみたが、何も起こらない。帰ろうとすると、チサトが反応する。 狭い窓から差し込む夕日が、床に小さな赤い陽だまりを作っている。その中に、T君はいた。 話しかけてみたが、T君は反応せずに消えてしまった。 239 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 16 41 ID nflfIs/90 チサトが、やけにこの件を気にかけていて、3人はT君ことタタラキミヒコの情報を集めることにする。 クラスメイト達は皆口が硬く、責任をなすりつけあっていたが、いじめの主犯格だったのはクラスも部活も一緒のサエキとクロダだったとわかる。 最初の頃は仲がよかったのに、いつの間にかタタラ君は殴られたりミツがされたり。 他に居場所がなかったのか、それでもタタラ君はバスケ部男子達といつも一緒にいたらしい。 サエキに話をしにいくが、サエキはチョイ不良で顔もよく頭の回転も速いスポーツマン、という感じで一筋縄ではいかない。 こちらをバカにしきった態度で、いじめについてものらりくらりとかわされる。 霊のウワサを持ち出すと、「センパイ、頭、大丈夫?」と嘲い、 「そういうの詮索するのって趣味ワルいよ。センパイ達、彼氏いる?」痛い所を突かれて、ユカリは逆上し、チサトを連れて去る。 ミカもサエキも、異性に人気があり、1年生ではヒエラルキーのトップに属している。 「岸井もさー、もっとつきあうニンゲン選んだら?」 「よけいなお世話」 「あ、そ。俺のベル番、知ってるよな?今度連絡して。」 「気が向いたら。じゃーね~。」 ユカリは手を引こうと言うが、チサトはタタラ君の気持ちを知りたいと譲らない。 もう一度夕方に器具庫に行く。同学年のミカの呼びかけにだけ、タタラ君は反応して姿を現した。 タタラ君は、何かを探しているらしい。でもその何かがわからないという。よく見ると、タタラ君は体育館履きを片方しかはいてなかった。 サエキ君たちに何かされたの?と尋ねると 「ううん、ボク、うまくやってるよ。」と答える。 ほんとに?いじめられていないの?ともう一度聞くと 「う、うまくやってるよ…ボクうまくやってるんだ。うまくやってるんだあぁぁっぁぁ!!」 T君は急に激昂して消えてしまった。 ユカリとチサトは、珍しく仲違いする。 もう関わりたくない、何故自殺した奴に執着するの!?と言うユカリと、 彼の言いたいことを理解したい。私達にも責任のあることなんだから…と言うチサト。 明けて翌日、体育館で事故が発生した。 いじめの共犯だった、バスケ部のクロダが、落ちてきたライトの破片で負傷。入院することになった。 体育館は改装したばかりでライトも新しい。事故であるはずがない…。 チサトが食い下がり、ミカの人気を利用して、クロダのお見舞いにいくことに。 クロダはやや地位の低いDQNといった感じで、サエキより御しやすいが、タタラ君の話題になると似たようなもの。 逆に、タタラとは仲間だったと主張する。タタラの家に遊びに行って、タタラ母に感謝されたこともあるとか。 チサトが、タタラ君の家に行って、サエキ君達とタタラ君の本当の関係を知りたいと言い出す。 ユカリが非常識だと怒り、勝手にすれば!?と言うと、チサトはすっと脇を抜けて、本当に行ってしまった。 ミカもそれを追い、ユカリは一人家へ帰る。 240 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 23 26 ID nflfIs/90 チサトとミカは、タタラ母に話を聞く。 タタラ母は、サエキとクロダの事を、内気な息子に出来たはじめての友達だと話した。 そのサエキ君とクロダ君が、いじめのリーダーだったんです…と伝えるチサト。 タタラ母は、息子は二人の事を本当にうれしそうに話していた、信じられない と言う。 チサトはもう一度、器具庫に行きたがる。このままじゃ、タタラ君はずっとあそこに縛られ続けてしまう…と心を痛めるチサト。 でも、ユカリは来ないだろう…。そんなチサトに、ミカが明るく言う。 「だーいじょうぶ!長谷川センパイなんかいたって役に立たないんですから!」 「?」 「この私がいれば十分!ね?一緒にいきましょ!」 やはり、ユカリは器具庫行きを辛辣に断った。 道すがら、最近やけにユカリがヒステリックだとこぼすミカに、チサトが答える。 「ユカリちゃんね、本当は全然怒ってなんかいないんだよ。 あんな風にいうのは、そうじゃなきゃ耐えられなくなるくらい辛いことが、他にあったからだと思う。昔からそうだから…」 器具庫に着いて、T君に問いかける。事故を起こした事や、サエキ達とのこと。 タタラ君は、わからない うまくやってる の一点張り。 消えそうなタタラ君に手をのばしたチサトに、タタラ君の記憶が流れ込んできた。 241 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 25 34 ID nflfIs/90 この器具庫で、あったこと。 サエキ、クロダ、カワイのバスケ部男子グループ。資金調達係という名目で、お金をみつがされていたこと。 お金を工面できなくなって、コンパを一つおじゃんにして、集合場所のここで謝ったこと。 ニヤニヤと笑いながら蔑まれて、殴られたこと。飛んでくるボールやパイプ、キック、からかいの言葉。 殴られる合間、カワイが聞いてきた。 「タタラ君さぁ、今流行りのいじめにあってるとか思ってない?」 「えっ?思ってない…思ってないよ ボクがしくったんだよ」 「死にたいとか思ってるか?」 「ううん、思ってないよ…」 「……あのさぁ、ちっとは思えよ、タコッ!ボクチンがせっかく苦労して捕まえてきたんだぜ、清陵のコ。 約束も守れねぇヤツがノーノーと呼吸してんじゃねぇよ!」 重い打撃音が響く。ヒーヒーという呼吸音と、謝る声。 「ズイマセン、スイマセン、スイマセン…」 顔を殴るな、と指示するサエキ。体を狙って、途切れることなく続く攻撃。 「さーさー、罰ゲームの時間でーす。さっさと靴ぬげよ」 「なんか最近こいつなれなれしくない?調子のりやがって」 「いいんじゃん?友達ぽくて。ナカマだろ。」 「でもさサエキ、ちょっとヤバくない?50万って…」 「あれ?クロダ、もしかして裏切り2号くん?俺は期待してるぜ、調達係。お仕事取っちゃカワイソウだろ」 「そうそう、それしか存在理由ねーんだからよ。仲間だってよ、ケッ」 「最後に本音言うクセ治せよ、カワイ。」 「ぜってぇ50万持って来いよ」 「な?仲間って結構たのしいだろ?タタラ。」 失神したのは、タタラだったのか、チサトだったのか。 追体験の負荷に耐え切れず、チサトは倒れてしまう。 そのまま、チサトは体調を崩して、寝込んでしまった。 それでもチサトは言う。 私、行かなきゃ…。タタラ君はね、どうしてあそこにいるのか自分でもわかっていない。 痛みに目をつぶっているうちに、どこが痛いのかわかんなくなっちゃったの…。 「タタラ君は、孤独だった。仲間だって言ってくれる人が必要だったの。 だから、サエキ君たちを最後まで信じてた。でもその気持ち、サエキ君たちは利用して…」 242 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/16(日) 01 28 14 ID nflfIs/90 親友が倒れ、ユカリがとうとう本気になった。 ガキの分際で!鼻っ柱ヘシ折ってやる!ということで、サエキと一騎打ちするユカリ。 「タタラはまだアンタの事まってるよ。 ひどいことされたのに、見えないフリして、自分をだまして、一度は逃げ出したくせに、未だに未練たらしくうじうじとアンタらを待ってる。 利用されてたことくらい、とっくに気付いてるのに、それを認めるのが怖くて! こいつも確かにサイテーだけど、アンタらはその上いくね!」 それでもシラを切るサエキ。いじめた側も、いじめられた側も、しらんぷり。現実を見たくない。 いじめて相手を殺してしまったこと、いじめられて死んでしまったこと。その現実を怖くて認められない。 強がるのはもうやめな、みじめになるのはアンタだよ。そう言ってユカリは立ち去る。 3人で、また器具庫へ行く。今度はチサトとタタラの一騎打ち。 チサトは、タタラ君に現実を受け入れさせようと長い説得を続ける。 「ねぇ、認めて!悔しかったこと、悲しかったこと、辛かったこと、見ないフリしないで!その憎しみも全部、自分のものだって認めて! そうしなきゃ、ずっとここにいなきゃいけなくなるんだよ!」 「やめろ!やめろぉ!」 「ううん、やめない!私に教えて!考えてること、考えてたこと、感じたこと、言いたかったこと全部…聞いてるから、私ここにいるから!」 ぽつり、ぽつりとタタラ君は話し始め、最後は泣きながら、怒りながら、叫ぶようにサエキ達の事をなじった。 ちくしょう、ちくしょうと繰り返しながら、タタラ君は消えてしまった。 3人は、学校中探して、タタラ君の体育館履きを見つけた。ボロボロになって、焼却炉脇に捨てられていた。 チサトは、それを拾い上げて、タタラ君の靴箱にそっと収めた。 「さようなら…。」 その後、タタラキミヒコの父親が、学校を相手に訴訟を起こし、ワイドショーが事を大きくしていった。 学校がいじめの調査に乗り出した所、サエキとクロダが自ら名乗り出た為、大人たちは肩透かしをくらったような形になったらしい。 今は二人とも、保護観察つきで学校生活を送っている。 ウワサも止み、学校に、またケダルい静けさが戻ってきた…。 タタラキミヒコは静かに眠れたのだろうか。ユカリ達はそうであってほしいと願っている。それが、せめてもの…。 246 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/16(日) 21 22 14 ID Z+5Vxcxs0 あれ。 いじめっこ組のカワイっていうのは無罪放免? 247 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/16(日) 21 56 27 ID nflfIs/90 カワイが一番タチ悪くて、とうてい反省する奴じゃなかったっぽい。 多分、サエキ達が自首したのをこれ幸いに、全部なすりつけたんでしょう。 293 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/19(水) 11 21 24 ID j6YIRhcQ0 議論中ですが、トワイライト失礼。 この話は電話に出続けるだけで解決するのでとても楽です。 294 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/19(水) 11 22 58 ID j6YIRhcQ0 第七の噂『テレホンコール』 真夜中の12時ちょうど、ユカリは自室で電話を取った。 「はい、長谷川ですけど。」 「あのね……あのね……あのね……あのね……あのね……あのね……」 一定間隔で、少女の声が繰り返される。 イタズラ電話だと思って、ユカリは受話器を置いた。 翌日、ミカとチサトにその事を話す。 すると、ミカが都市伝説を持ち出してきた。 「12時ジャストの電話は、死者からの電話だから、取ってはいけない 取ってしまったら、絶対自分から切ってはいけない。切ってしまったら…それは死者からの申し出を受けたことになる。」 チサトも、同じことを聞いたことがあると言う。 チサトは、気になるから調べてみると言ってくれたが、ユカリはただのイタ電だと思っていた。 夕方、ユカリが部屋に居ると、ステレオや時計が壊れてしまった。 タイマーも表示も、何故か0:00で止まっている。 時報を聞いてみると、6時15分だったので、それに合わせておく。 何度か電話がかかってくるが、間違い電話や宅急便等、普通の電話ばかりだった。 チサトから電話がかかってきて、調べた結果を教えてくれる。 やはり、死者からの連絡は昔からよく言われていることらしい。 大抵はこちらに好意的で、だが愛着が強い分、連れに来てしまうこともあるとか。 やはり切るのはよくない。亡くなった人は一つの想いにとらわれがちだから、いったん悪意に変わると… もう少し調べてみるから、また連絡する、と言ってチサトは電話を切る。 また、時計が狂って、0:00になっている。 時報を聞いてみると、今度は時報も0;00を告げた。そんな訳ないのに…。 電話が、何度かかかってくる。 段々と、おかしい電話ばかりになっていく。無言電話、誰かの笑い声、など。 チサトから、電話の意味がわかった!とかかってくる。 その死者は、ユカリにどうしても言いたかったことや、守れなかった約束などがあるらしい。 それをユカリが思い出してあげないと、その人はあちら側に行けないそうだ。 そして、思い出せないでいるとあちら側に連れて行かれるらしい。 今、ほんとの時間は11:30。あと30分で、それを見つけなければいけない。 295 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/03/19(水) 11 25 16 ID j6YIRhcQ0 誰か古い知人が死んだのか、と昔のアルバムをめくってみるが、 この頃はよかったな…普通に毎日幸せで…という発見しかなかった。 思い出を探ってみるが チサトと出会ったこと 昔つきあってたやつ とうさんとかあさんが別れたこと… そのどこにも心当たりはなかった。 その時、出かけている母から電話がかかってきた。 川越の親戚のサチコちゃん、ユカリの一つ上で、昔はよく一緒に遊んだ…病弱でずっと入院していた彼女が、昨日亡くなったらしい。 サチコ…さっちゃん…。ユカリの記憶が蘇る。 「すごーい!さっちゃん上手!」 「ずっとベッドに寝てるから、いつのまにかうまくなっちゃったの。」 「いいなぁ、これかわいいな。」 「今度もう一つつくっておくから、ゆかりちゃんにあげるね。」 「わぁ!ありがとう、約束ね!」 そして、またかかってきた電話に出ると 少女の声で あのね が繰り返され始めた。それを遮るように、問いかける。 「さっちゃん…?さっちゃんだよね?…どうしたの?」 「ゆかりちゃん……あのね、私…死んじゃった。」 約束、守れない……と呟くさっちゃん。 「いいよ…もういいよ、さっちゃん。」 「ごめんね…私、行かなきゃ。ばいばい、ゆかりちゃん…」 「うん…うん…ばいばい、…さっちゃん…」 ブツ と音を立てて、それきり電話は切れた。 第八の噂『錆びた穽』 ユカリ達3人は、ミカの発案でカラオケBOXにやってきた。 ミカは最新のポップスを、ユカリはお気に入りのロックを歌う。 ミカが歌ってる間に、チサトがそっとユカリを慰める。 教育実習が終わってしまったこと。それと同時に終わってしまったもの。 チサトはカズヤとの事に気付いていたらしい。ユカリは、「気にしないで、アレ、もう終わったことだから」と返す。 チサトにも何か歌わせようとするが、チサトは人生初カラオケで恥ずかしがる。 無理に歌わせたら、選曲は演歌。はいっちゃって、回る回るコブシ。 その間に、ユカリとミカは本題に入る。 カラオケは前菜で、今日も探検の計画があった。 全く工事をしている気配の工事現場。駅前の一等地に関わらず、ずっと放置されているのは何故か? 人骨が大量に出てきたからだとか、埋蔵金が見つかったとか、色々噂がたっているので、それを検証しにいくことになる。 カラオケを切り上げて、工事現場に向かおうとすると、チサトが渋る。 「あんたまだ歌うの?」 「もしかして、気に入っちゃった?」 「えへへ…」 時間まで歌ってから追いかける、というチサトを置いて、ユカリとミカは問題の場所へ。 「しかし、逸島センパイ、あんなハマるとは…」 「あんたのせいでしょ。悪いことばっか教えて…」 「メンエキがないってのは、こわいですね~」 工事現場に潜入したら、中は掘り返したまんま放置されていた。 一番下まで降りてみると、そこには謎のハッチが。 開けてみると、中には深い穴が続いている。これが出てきたから、工事はストップしたのか? 目印にゲーセンで取ったぬいぐるみを吊り下げて、二人は降りていった。 中は、トンネルに作られた基地のようになっていた。 錆びた配管が通り、各所にドアがある。戦時中のようなスローガンが貼ってあって、マニアックな雰囲気。 発電機が稼動していて、人の気配もある。どこかの戦争マニアの趣味なのだろうか? 探索中、兵隊の格好をした人を見つける。水を取ってきてくれと頼まれて、井戸で水をくんで渡す。 ある部屋に入ると、そこは手術室のような場所だった。消毒薬の臭いと、嫌な感じがする。 そこを出ようとすると、ゲートルを巻いた老人に捕まった。 何故疎開していない?とにかく大丈夫だ、この地下壕までは爆撃は届かん、と言う老人。 匿ってやる と老人に連れられて、貴賓室へ通される二人。 本来ここは民間人が入れるような所ではないが、非常時だからな とのこと。 「ワシもずいぶん長いことこの壕に潜っている気がする。最初の大空襲の頃からだが…」 老人は、地上の戦況を訊いてくる。 どうやら、頭のイっちゃった軍事マニアの大富豪だろう、と見当をつける二人。 ここではある軍事機密である作戦が行われているらしい。 この作戦が成功すれば、米兵など怖るるに足らず。日本を必ずや勝利に導くと請け負う老人。 老人はいい人で、上には内緒で二人を匿ってくれるらしい。 妹から来た手紙を嬉しそうに話す。妹は広島に疎開して、農業を始め、胡瓜が取れたと手紙を送ってきたそうな。 調子を合わせておいて、老人が去った後逃げ出す二人。 だが、途中にある扉が開けられず、出口に戻れない。足音が聞こえて、近くの部屋に逃げ込む。 カーテンので隠れていると、老人が入ってきた。誰かに何かを報告している。 準備は整いました!あとは、満月を待つばかりであります!と謎の報告をする老人。 すると、誰も居ないはずなのに声が返ってくる。 金剛が完成すれば戦争が終わる と嬉しそうに話をする二人。老人は相手を少佐と呼ぶ。 老人が去った後、部屋を見回してみたが、やはり誰も居ない。 ただ、禍々しい感じの軍人の肖像画が壁にかかっていた。 その後、ユカリとミカは金剛区画と書かれた場所に迷い込む。 すると、老人に見つかってしまった。この場所はズバリ機密そのものらしく、二人は薬を嗅がされて眠らされる。 貴賓室へ戻されて、今度は鍵をかけられてしまった。機密に触れたからには、外に出す訳にいかないそうだ。 どの道、地上に出れば死ぬだけだから、日本が勝つまでの辛抱だ。 もうすぐ作戦が成功して戦争は終わるから、大人しくしていてくれ、とすまなそうに言う老人。 その頃、歌いつくして満足したチサトは、延滞料金を払って店を出た。 工事現場に着き、目印を見つけて、壕へ降りていく。 チサトは、ここが非常に危険な場所だと察知する。遊びで来ていいところではない。 二人を連れ戻そうとして彷徨うチサトに、出会った兵隊が鍵束をくれた。水のお礼だ、と二人が監禁されている場所も教えてくれる。 一方ユカリとミカは、次に老人が来たら倒して逃げようと待ちかまえていた。 足音が近づいてきて、ユカリは必殺技の構えを取る。 ユカリの快心の一撃は、扉を開けたチサトにクリティカルヒット。 しゃがみこんでしまったチサトに慌てて謝る二人。 3人で逃げ出そうと歩いていると、少佐の部屋から話し声がする。 盗み聞きしてみると、どうやらユカリ達の話をしているようだ。 悲願の最終兵器、金剛鉄兵。あとは少佐が満月の晩に儀式を行えば完成する。 その非常時に民間人を入れた事に激怒し、即刻始末するように命令する少佐。 必死でユカリ達をかばい、あの部屋から一歩も外に出しませんとねばる老人。 部屋に突入すると、やはりそこには老人しかいなかった。 「お前達…本当に敵国のスパイだったのか…騙しおって!」老人は銃を構えて追ってくる。 逃げているうちに、金剛区画を抜けて、今までと様子の違う部屋に辿り着いた。 そこは不退転の間。ろうそくの灯る、呪術的で妖しい部屋だった。 カーテンの陰に安置された柩のようなものを覗くと、そこには歪で大きなヒトのような何かが横たわっていた。 禍々しく、目を背けたくなるような、生きている何か。これが恐らく、兵士達を素体とした生体兵器、金剛鉄兵。 老人が追いついてきて、銃を構える。とうとう金剛まで見てしまったか…生かしてはおけないと。 3人は、必死で説得する。ユカリが叫ぶ。 「戦争は終わったのに…!」 老人の中にも、ユカリ達と会った事でかすかに迷いが生じていたらしい。戦争は、もしかしたら終わっているのではないか?と。 ユカリの一言で、老人は揺らぎ始める。 そこで、更に説得を続ける。 もう、ずっと昔に戦争は終わったんです。日本は負けたの!ヒロシマとナガサキに原爆を落とされて… 原爆!?新型爆弾が使用されたのか?ヒロシマ…まさか、広島には妹が! 信じまいと苦しむ老人に、ユカリがつぶやく。 「戦争は、終わったんです…。」 その時、金剛鉄兵が動き始めた。 「まだ動いちゃいかん!そんな体で動いては…!」 金剛鉄兵は、ユカリ達を敵だと認識したのだろうか。戦争が終わったという事を否定する為に立ち上がったのか。 お前達は逃げなさい、と老人は言う。 一緒に逃げようというと、老人は遣り残したことがあると言う。 3人は教えられた道を逃げ、水路に飛び込んだ。そのまま流され、地上に出ることが出来た。 外に出ると、夜が明ける頃。あの工事現場の方を見ると、噴出すように爆煙が上がった。 老人の遣り残した事は、機密の爆破だったのか…。 チサトが呟く。 「50年も、一人で戦争をしていたんだね…。」 その爆発を、ミカが写真に収めた。 後日写真を見ると、立ち上る煙に絡んで、無数の光の筋が空に向かっていくのが写っていた。 あの暗い穴に閉じ込められいた魂達は、きっと開放されたのだろう。 193 :ゲーム好き名無しさん:2008/08/02(土) 16 51 48 ID nl5Npas90 トワイライトシンドローム第九話投下します。 ユカリがツンデレからヤンデレに進化しかけました。 194 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 16 52 32 ID nl5Npas90 第九の噂『オカルトミステリーツアー』 夕暮れの街角に、ひっそりと辻占が佇んでいる。ユカリはなんとなくその前で足を止めた。 占ってもらうと、 ・ユカリは激しい変化の中にいて、行く先がわからず悩んでいること。 ・大事な人を失ったこと ・今まで自分を信じてやってこれたのに、はじてめての心細さを感じている事 を言い当てられ、更に、貴方にはこの世の外に力が加わっているみたい と言われる。 そして、貴方の心の奥深くに小さな女の子が隠れている、と言われ、占い師の催眠を助けに、目を閉じて自分の心に意識を集中する。 ユカリの頭に、幼い少女の笑い声が聞こえた。あの日、最初の冒険で出会った少女の声だった。 「あなたはこの子にもう一度出会うでしょう。それによってあなたの運命は大きく変わっていく…」 あなたは、近いうちに大きな選択を迫られる事になるでしょう。 占い師の声が途絶え、目を開けると、そこには誰もいなかった。 学校でミカが、一番最初の冒険の話を持ち出してきた。 旧校舎に出る、おかっぱの少女の霊。その子を呼び出すと、願い事が叶うという噂。 最初の冒険は失敗して、追い掛け回されて命からがら逃げただけに終わった。 「あれは呼び出し方が悪かったんです!今度のはもうバッチリ!」 チサトは嫌がるが、結局、その噂にリベンジ挑戦することになった。 夜の学校に忍び込むが、いつもと勝手が違う。 もうカズヤはいないから、ユカリは鍵束を借りる事はできない。行けない所が多く、逃走毛色にも制限有。 今回の呼び出し方は前回より手が込んでいる。学校の鬼門となる美術室で、わらべ唄を歌うと言うもの。 「庄屋のおじょうさん 小紋の小袖 髪あげ前の おかっぱあんで 橋のむこうの オケ屋のせがれ かんざし買って 石段のぼって おいなりさんに あぶらげあげて グルグルまわる 三回まわる 願掛けそうろう 豆食ってそうろう 門松市松 かがんでくぐって 関のお山の守り人さん 愛しいあの子と結んでくりゃさんせ」 歌ってみたけど、特に変化はない。女の子の霊が出たか、旧校舎まで確認しにいくことに。 旧校舎の一室に、明かりが灯っているのが見える。蛍光灯ではない。明かりは、床のほうから灯っているのだから…。 その教室は、旧校舎の鬼門、一番北東の教室。 そこまで行ってみることになるが、教室に近づくと、明らかに異変が起こっているのが分かる。気温がとても低い。 扉を開けると、そこには青白い光が浮かんでいた。 チサトはその光を怖がり、あの女の子とは何も関係ないとても悪いモノだと言う。 3人はひとまずその場を逃げ出す。 195 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 16 57 20 ID nl5Npas90 校舎の中には、霊が沢山出現している。あの光の中から出てきたようだ。 自分達は、大変なことをしてしまったらしい。 校舎を逃げ惑う内に、ユカリは二人とはぐれてしまった。 生物室を覗くと、ぼんやり霞む少女の後姿が目に入った。 彼女はすすり泣き、ブツブツと自分を振った男への未練を口にしていた。手首からは血が流れている。 直感的に、フジタマユミだと思うユカリ。あの時、彼女は成仏できなかったのだろうか。 「…違う!フジタマユミは…」首を吊って死んだんだ。 少女は、別れた男への恨み言を口にし続ける。 「あんな一方的に言うなんて、ひどすぎるよ… そう思ったらくやしくなっちゃって…ゆるせない …ゆるせない!ゆるせない!!ゆるせない!!!」 「違う!違う!私は…」 ユカリがたまらず叫ぶ。 「私はそんな風に死んだりしないよ!!」 「…カズヤ…」 言いながら振り向いた少女の顔は、ユカリと同じだった。 気がつくと、ユカリはチサト達に介抱されていた。生物室に倒れていたらしい。 合流し、自分達が召喚してしまった何かを封じる方法を探す。 生物室に、いつもの鍵束がぽつんと置いてあった。生物の先生がしまい忘れたのだろうか? 有難く拝借する。通行制限解除。 196 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 00 39 ID nl5Npas90 校舎内の怪奇現象はますますひどくなっていく。自分達が召喚したのは、霊たちが出てくる出口だったようだ。 霊たちは口々に苦痛の声を上げている。 苦しい 開けてくれ 出口を開けてくれ ここから出たい 帰りたい 自分達が開けてしまった扉は一方通行で、押し出された魂達が行くことも帰ることも出来ず苦しんでいるのだろうか。 わらべ唄しか自分達には材料が無いので、歌詞をよく見直してみる。 この唄は、おかっぱの女の子を呼ぶ唄としてはおかしい。 オケ屋のせがれが、庄屋の娘に会うために、橋を渡してくれと お稲荷さんと守り人に頼んでいる。 オケ屋のせがれとは何の象徴なのか?何故自分で川を渡れないのか?これは、死者を此岸に渡すための歌なのだ。 どの道、手札はこの唄しかない。この唄を、然るべき場所で歌えば、霊の帰る道が出来るんじゃないだろうか? その場所はどこなのか、歌詞とにらめっこしながら考える。 関のお山って関所のこと?人の出入りを司る所と言ったら、玄関のことだろうか。 そこで、チサトが閃いた。 「玄関だよ、ユカリちゃん…あの人たち、霊の世界に帰りたがってたんじゃないんだよ…」 霊たちは、もう一度生者の世界に帰りたいと呻いていたのだ。 霊たちが目指していたのは、この学校からの出口だ。そこを封じないといけない。 3人は、一か八か玄関でもう一度わらべ唄を歌った。 校舎内の霊魂達が、開いた出口に飛び込んでいった。霊たちを飲み込んだ出口は校舎中を発光させて、消えてしまった。 最後にチサトの視点での後日談が入る。 死者と私達の境は何なのか… いつかは必ず、自分達も彼らの仲間入りをするというのに、私達は彼らを恐れ、拒絶する。 私達が開いた扉から見えた、生者の世界の眩い光。それが彼らにどんなに渇望を抱かせたか。チサトはその事に罪悪感を覚える。 そして、あれ以来、ユカリの様子がおかしくなった。はぐれていた間、ユカリが死者達からなにを見せられたのか… チサトは今日も心配し続けている。私達は死者に近づきすぎたのかもしれない…。 「この穏やかな生者の世界で、私達はいつまで生という夢にまどろみ続けていられるのでしょうか…。」 197 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 09 02 ID nl5Npas90 続けて最終話です。 あの街の名前は「夕闇ヶ丘」じゃないでしょうか。第3話的な意味で。 198 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 10 55 ID nl5Npas90 第十の噂 「裏側の街」 ユカリは夢を見た。夕焼の中、小さな女の子が滑り台を何度も滑り続けていた。 珍しく寝坊して、母親に起こされ、お隣りのチーちゃんー幼稚園の可愛い女の子が昨日行方不明になったと聞かされた。 チーちゃんがいなくなったのも公園だったらしい。あの夢は予知夢だったのだろうか…。 夏休みに入ったが、その日は登校日。ミカとチサトにその夢のことを話すと、その公園に行ってみようという事になった。 すべり台を、女の子の真似をして何度も滑ってみる。 同じ所をぐるぐる回ると別世界に迷い込む、という民間伝承もあることだし…。 当たりは夕闇。トワイライト。死者に近づきすぎた3人が、女の子の消えた公園で、ぐるぐるとすべり台を滑る。 3回目を滑り終わった時、雷が鳴った。夕立がくるのかもしれない。 急いで公園を出ると、そこは 自分達が知っている街ではなかった。 ここは駅にどちら側?PARCOはどこにいってしまったんだろう。町並みは妙に古く、紙芝居屋なども出ている。 街に立つ人たちに話しかけると、皆どこかおかしい。自分の名前を言えなかったり、何処から来たか覚えてなかったりする。 その内にチサトが、胸騒ぎがすると言い出した。 「ねぇ、今日何日か覚えてる?8月なのまでは覚えてる。でも何日なのかが…」 「何言ってんですか?今日は登校日だから……あれ?」 今日が何日なのか、誰も思い出せなかった。 広場に出ると、皆街頭テレビに夢中になっていた。 老紳士が説明してくれた。あのテレビに映るのは人々それぞれの記憶。 みなそれを慈しみ、ここで別れを告げるのだという。訳が分からない内に、どこかの路地に紛れ込んでしまった。 夕陽が心地よく、自分が暖かさの中に溶け出していくような気持ちになる。その気持ちと戦いながら、先を急ぐが、路地裏がループして出られない。 その内に、3人はクラスメイトの顔が一人も思い出せないことに気付く。 路地で夕涼みをしているおばあさんに、この街について訪ねると、おばあさんはここを「お彼岸の町」だと言う。 橋を渡れない悲しいホトケさん達は、この町で夕日にゆっくり溶かされて、全てを忘れて彼岸へ旅立つのだと。 おばあさんは、ここでおじいさんを待ってるらしい。もう、おじいさんの顔は思い出せないけど…。 199 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 14 10 ID nl5Npas90 「でも私達、生きてるんです…迷子になっただけなのに…」 おばあさんは、この町を出るには橋が一本かかっているだけだという。彼岸に渡る為の橋。 3人は、この町から出るために、他の方法を探す。 ループを抜けて、教会にたどりつく。 神父に相談する内に、自分達のことを少し思い出す。 そして、神父は、3人が死者に近づきすぎたことや、ユカリが生きる事に対する迷いや苦痛を感じていたことを見抜く。 死に近い者は、死者の世界に迷い込んでしまう事があるらしい。ユカリの迷いが二人を巻き込んでしまった。 3人は町に戻る。ユカリは、自分が2人を死へ誘い込んでる事に責任を感じる。 自分の、迷いに対する答えを探さなければならない。 でももう、その迷い自体も、記憶もほとんど失われてしまった。家族のことも思い出せない。 ユカリは、チサトと昔好きだったコックさんの絵描き唄の話をする。どんな唄か忘れちゃったけど、楽しかったね。 童心に返り、色々な話をしながら土手を歩いた その内に、3人は橋へと辿り着いてしまった。 夕焼けがとってもきれい。あっち側で見たらもっときれいだよね。 もう橋を渡ってはいけないことも思い出せず、ユカリは橋へ向かって歩き出す。 ミカとチサトは、本能的に橋を渡る事にためらいを感じて立ち止まる。 「ユカリちゃん戻って!」 「センパイ!その先はダメです!」 二人の制止を聞かず、ユカリは橋を夕日に向かって歩いていってしまった。 ミカとチサトは、ユカリにひきずられてここに迷い込んだだけ。ユカリがいなくなり、二人は夢から醒めるように元の世界へ戻っていた。 二人は、ユカリが戻ってくると信じて、ユカリと近い場所を探そうと走り出す。 200 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 17 11 ID nl5Npas90 ユカリは、夕焼けの中をいい気持ちで歩いていた。 見覚えのある道を登ると、そこは雛城高校。確かにここを知っている気がした。 夕日に満ちた世界で、小さな女の子が砂にコックさんの絵を描いている。会ったことがある気がする。 その子を追いかけて、ユカリは校舎の中へ入っていく。 校舎を歩く内に、段々ユカリは記憶を取り戻していく。 ミカとチサトとはじめて探検した時、ここから入った…カズヤに借りた鍵で…。 カズヤとの最後のデート、喫茶店で、カズヤを傷つけてしまったあの時のことが再生される。 虚勢を張って、傲慢に振舞っている自分を見ながら、ユカリは後悔する。 違うよ、こんなの全部嘘だったんだよ。私だってカズヤと一緒にいたいだけだよ… 廊下の先に、小さな女の子が立っていた。ユカリは、チーちゃんの事をなんとなく思い出した。 「あなたはチーちゃん?私、お隣のユカリ。一緒に帰ろう。」 逃げる少女を追ううちに、また記憶が蘇ってくる 父さんに、離婚のことを切り出された時の記憶が再生される。 強がって、何でもないことのように振舞った自分を見ながら、ユカリは苦しむ。 その先は聞きたくないよ。本当は嫌だよ。父さんと母さんが別れるなんて、私絶対認めないよ… 強い子だと言う父さんの声にユカリは心の中で叫ぶ。 強くなんかない!私は全然強くなんかないよ!やだ…行かないで、父さん… カズヤと雨の中出会った事。ずぶぬれのまま自転車のチェーンを直していた自分に、カズヤが傘を差しかけてくれた。 カズヤが見てくれたけど、結局直らなかった。父さんからもらった大切な自転車だったけど、もう寿命だった。 結局二人ずぶぬれになって、自転車を押しながら相合傘で歩いた チサトと出会ったのも、夕焼の中だった。雛城に引っ越してきて最初にできた友達。大切な親友。 あの公園でよく遊んだ。いつだったか、あのすべり台に座って、二人で夕日を見た。 「ユカリちゃん、帰らないの?くらくなっちゃうよ」 「お母さんね、お父さんのこと、きらいなんだって…お父さんも、お母さんのこと、おこるの…」 「ユカリちゃん…」 「帰りたくない。わたし、おとうさんもおかあさんも…きらい」 流れてくる記憶を受け止めながら、ユカリは夕暮れの校舎を歩く。 入学式、両親に素直じゃない態度を取った事。 ミカと出会った時の事、初対面からなれなれしい奴だった。 3人でうさんくさい噂を検証して回った事。明るくはしゃぐミカ、おだやかに微笑むチサト…。 はじめての噂の時、おかっぱの少女に出会ったトイレの前を通りかかった。 あの時と同じように、3回回ってみる。あの時は、この後屋上に行ったっけ…。 201 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 20 48 ID nl5Npas90 チサトとミカの声が聞こえた気がして、階段を登った。世界には夕焼けがいっぱいに広がっている。 押し寄せてくる記憶の洪水に飲み込まれ、暗転し、気がつくとそこは屋上だった。 おかっぱの少女がユカリを待っていた。 「おねえちゃん、どうしてこんなとこにいるの?」 「あたし…」 「だめだよ、おねえちゃん。こんなとこにはいってきちゃ。 ここは夕焼けの町。死んだ人が最後にたどりつくところ。 嬉しかったことも、悲しかったことも、夕日がバターみたいに溶かしてくれるの。」 「…。」 「でも、おねえちゃんは、まだちがうよ。まいごになっちゃったの?」 帰りたい?と少女に聞かれて、ユカリは戸惑う。 もう、いいかもしれない。疲れてしまった。どうせ一人ぼっちだし、このまま…。 「でも、おねえちゃん、ずっといっしょだったよ? ここにのぼってくるときも。気がつかなかった?」 そういえば、声が聞こえた気がした。誰かの声が…。 わかっていた…思い出した…ずっと感じていた…。 「本当は帰りたいの! でもあたし、もう自信ないよ 必死に意地張って、強いフリして 本音に気付かれないように…気づかれないようにしながら もうそうやって生きていく自信がないの!」 本当は離れたくない、チサトやミカとずっと一緒にいたい。 でも… おねえちゃん、まってるひとがたくさんいるね。きこえない? 少女にそう言われてユカリは気がついた。 幼い少女の泣く声が聞こえる。気がつくと、目の前に立っているのは、おかっぱの少女ではなく、チーちゃんだった。 すすり泣く少女越しに、ビルが見える。見慣れた風景だ。帰ってきた。元の世界に帰ってきた。 振り向いたユカリの目には、こちらへ歩いてくるチサトとミカが映っていた。 エンディングを挟んで後日談。 夏休みが終わり、3人は教室から空を見上げていた。 結局、噂の検証をしてる内に休みはパァ。若い娘らしい秘め事もなく…。 「まぁ、シゲキ的なコトは二学期に期待ってとこですね!」 振り向くと、ユカリとチサトは教室を出て行くところ。 慌ててミカも後を追う。まだキツい日差しが、誰も居なくなった教室を明るく照らしていた。 ー「噂」終了ー 202 :トワイライトシンドローム~究明編~:2008/08/02(土) 17 52 34 ID nl5Npas90 この後、prankという話が出てきますが、それはムーンライトの宣伝なので、 トワイライト無印はこれで終わりです。